第十八話 ~ディケラの散策(3)
奴隷を買ってしまった、どうしよう。
購入したセシリー達の代金を払うと、ベンさんが購入手続きを進めてくれる。
手続きといっても、国へ提出用の書類を数枚書いた後、奴隷の主人変更の魔道具で主人を変更するだけだ。
お互いの同意があれば主人変更はあっさり終わる。
同意がなければ変更ができないのは盗難防止のためだろう。
最後にベンさんから以前も聞いた奴隷に関する注意事項を聞き、最後に何かあれば買い取りもしてくれることを教えてもらう。
自分が不安な態度を見せていたための提案だろうが、それは使わないでいたいものだ。
3人を連れて店の外に出る。
よく考えるとセシリー以外をちゃんと見るのは初めてだ。
セシリーが長女で、ロミー、アニーと続くらしい。
「お願いを聞いていただきありがとうございます。これからよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく頼む」
「それで、これからどういたしましょうか?」
とセシリーが聞いてくるが、店の前でゆっくり話すわけにもいかないので宿に移動しよう。
昨夜泊まった宿に移動して、今晩も泊まることにして部屋に移動する。
ちなみに、宿屋代は4人分必要だった。
出費も増えたし、家計簿でも付けるべきかもしれない。
部屋に移動してこれからのことを話し合うことにする。
そういえば、自分のことを話していなかったので自己紹介から始める。
「冒険者のリョウだ。ランクはCだ」
セシリーは非常に丁寧な態度で聞いており、ロミーはちょっと気が抜けたような態度、アニーは怯えているかのような態度と三者三様だ。
態度に関しては慣れれば、そのうち変わっていくだろう。
それよりも、これから3人をどうするかだ。
まずは希望を聞いてみるが
「私たちはご主人様のおっしゃる通りに働くだけです」
の一点張りだ。
まだまだ正直に何かを言ってくれるには信頼が足りないのだと思う。
であれば、ある意味予定通り、パーティを組んで狩りに連れて行くしかないだろう。
レベルを上げて強くすればパーティとして強化もできるし、彼女らを解放することがあった場合にも役に立つことだろう。
どのように戦っていくかを考えるためにも、3人のステータスを確認する。
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名前: セシリー
種族: 人間
年齢: 16
レベル: 1
体力: 19/19
魔力: 1/1
腕力: 5
器用: 5
知力: 4
運 : 5
技能:
なし
犯罪歴:
なし
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名前: ロミー
種族: 人間
年齢: 12
レベル: 1
体力: 13/13
魔力: 8/8
腕力: 3
器用: 4
知力: 5
運 : 4
技能:
なし
犯罪歴:
なし
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名前: アニー
種族: 人間
年齢: 10
レベル: 1
体力: 10/10
魔力: 1/1
腕力: 2
器用: 2
知力: 2
運 : 6
技能:
なし
犯罪歴:
なし
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予想はしていたが、3人ともレベルは1。
あえて言えば、セシリーは平均的、ロミーは魔力と知力が少し高い、アニーは運が高いという感じだ。
セシリーには武器を与えて前衛、ロミーは魔法を覚えれるようなら教えて後衛、アニーは遊撃だろうか。
当面は自分が敵の攻撃を受け持ちながら、攻撃の練習をさせるのが良いだろう。
以前聞いた話では、パーティーを組んでいれば直接敵を倒さなくてもレベルは上がるらしい。
ざっくり方針は決めたので、今日のところは歓迎会も兼ねて少し豪華な食事にしようと思う。
追加料金を払って宿の女将さんにお願いする。
「では、これから大変だと思うが一緒にがんばっていこう」
食事が揃ったので乾杯をする。
自分とはエール、3人は果実を絞ったジュースだ。
「奴隷の私たちにこんな歓迎申し訳ありません」
と、セシリーが恐縮しながらお礼を言ってくる。
「奴隷として買ったのは確かだが、パーティーとして一緒にこれからやっていく仲間でもある。
仲間なのでお互い信頼が大事だと思う。
まあ、今日のところは難しい話もなんだから、お腹いっぱい食べて明日に備えてくれ」
自分としては素直に話したつもりだったが理解してもらえそうな雰囲気ではなかったので、今日のところは食事を楽しもう。
セシリーはともかく、ロミーやアニーは美味しそうに食べている。
それに、明日からは一緒に行動するわけだし、そのうち信頼もできるだろう。




