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異世界迷行記  作者: 田中
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第十七話 ~ディケラの散策(2)

ディケラ散策(2) 奴隷を買う


 この後はある意味本日のメインイベント。

行きたいような行きたくないような気持ちになっている。


「行く約束しちゃったしなあ」


などと、誰への言い訳かわからないような独り言を言いながらベンさんのお店である奴隷店へ向かう。

店の場所は事前にベンさんから聞いており、広場から少し離れた道の裏手にあらしい。

商売柄大通りに面したところに出すものではないのだろう。


 店はすぐ見つかったので、さっと店内に入る。

すごく入りにくかったが、店前でうろついていたら単なる不審者扱いされそうだし。


「いらっしゃいませ……、これはリョウさん、ようこそいらっしゃいました」


 ちょうど、ベンさんが店内にいたらしく、にこやかに話しかけてくる。

店内はカウンターが正面にあり、その手前に応接セットのようなものがある。

また、奴隷の檻のようなものがあるかと思ったら、そんなものは影も形も見えない。

この店が何か知らなければ、不動産屋のような雰囲気だ。

それはそれとして、ベンさんに挨拶を返す。


「こんにちは、お約束通りきてみました」


「わざわざお越しいただきありがとうございます。

せっかくですから、是非うちの奴隷を見ていってください」


 いきなり、ベンさんに店の奥に案内される。

気分的には、ぼったくりの可能性がある店に入るような感じでおそるおそるついていく。

まあ、油断さえしなかったら何とでもなるだろう。


 店の奥には入口にあったものよりも高級そうな応接セットがあり、勧められるままにソファーに座る。

座り心地はとても良いので、かなり高いソファーなのだろう。

よく考えれば、奴隷も安いものではないだろうから、顧客は金持ちや身分の高い人が多いのだろう。


「それでは改めまして。

ベン奴隷店へようこそいらっしゃいました。

せっかくですので、本店舗の商品をゆっくり見ていってください」


気が付いたら、使用人のような恰好をした可愛い感じの女性がお茶を持ってきたので、ありがたくいただく。


「彼女はうちで働いている奴隷です。

うちのお店では奴隷を何人か店員として使っていますが、そのうちの1人ですね」


お茶をすすっていると、ベンさんが色々と話してくる。


「リョウさんは冒険者ですよね。

もし奴隷を買われるのでしたら、パーティメンバーとしてがよろしいですか?」


「パーティ自体を組んだことがないので何とも言えないです」


つい、正直に答えてしまう。


「でしたら、是非パーティメンバーとして奴隷を使われると良いですよ。

パーティを組む際の煩わしいことが奴隷だとほとんどありませんし、連携などの練習にもなりますよ」


たしかにそうかもしれない。

この世界の冒険者は総じて見た目がごつい人が多くて気後れしてしまう。

奴隷であれば、基本的に命令に逆らえないので気にする必要はなさそうだ。

そうなると、問題は価格だろうか。


「おっしゃる通りパーティメンバーとしては良さそうですね。

ただ、奴隷は高価だと聞いてますので買えるか問題かなと」


「それでしたら奴隷も色々いますから、是非見て行ってください。

価格に関しては恩人のリョウさんですから、できる限りお勉強しますから」


 そこまで言われて断ることはできないので、まずは見せてもらうことになった。

見学の方法は、隣の部屋に大部屋があり、そこに良さそうな奴隷を集めてくれる。

その中から気に入った奴隷がいれば、個別に面接して決める形になるそうだ。


「まずは男の奴隷からお見せします。

冒険者のパーティメンバーに戦力として入れるのであれば男の奴隷がお勧めです」


しばらく待っていると、10代後半から30歳前後までの男の奴隷と思われる男たちが入ってきた。

ほぼ全員がごつい見た目で筋肉が盛り上がっている。

うむ、無理だ。

すでにパーティを組んでいて追加メンバーとしてなら良いと思うが、男2人で冒険や旅をしても楽しくないに違いない。

少なくとも、男奴隷を見た瞬間にそのことに気が付いたので、こっそりとベンさんに耳打ちして、女奴隷を見せてもらうようにお願いした。


「わかりました。入れ替えますので少々お待ちください」


ベンさんは嫌な顔も見せず、入れ替えを始めた。

なにか手際がすごく良いような気がする。

どうも、男奴隷に興味がないことは最初から予想されていたのかもしれない。


「では、準備整いましたので部屋にいれます。入れ」


ベンさんの合図で5人の女性が入ってきた。


「今、当店にいる女奴隷でリョウさんに合うと思われる5人です。

1人目がパワータイプの戦士、2人目はスピードタイプの戦士、3人目はローグ、4人目と5人目は使用人タイプとなります」


ふむ、どうしたものか……

1人目、2人目、3人目の女性は眼光が鋭く、ようするに怖い。

4人目と5人目の女性は使用人か……

ん?5人目の女性は昨日ベンさんの馬車にいたうちの1人のようだ。

それはともかく、家も持っていないのに使用人を買う意味はないのではないだろうか。

そう思ったので、ベンさんに聞いてみる。


「私は家を持っていないので使用人を買っても意味はないのではないでしょうか?」


「そんなことはありません。

冒険者の方は常に外で宿泊したりすることも多いので、野営や食事の準備などに連れて行かれる方も多いです。

それに使用人タイプでも武器を持たせて戦わせていれば、そのうちに戦えるようになります」


即戦力ではないけど、育てれば色々便利ということか。

たしかにどうせレベルはある程度上がるのだから、自分もレベルが低い今のうちなら育てることも容易だろう。

今のところ、即戦力が必要と思っているわけではないし、1人目、2人目、3人目の女性が怖いとか思ったわけではない……はず。


そう思ったので、4人目と5人目の女性についてベンさんに確認をしてみる。


4人目の女性は24歳。

名前はサラ。

以前、貴族の屋敷で働いていたが代替わりをした際に売られたらしい。

貴族の屋敷で働いていたので家事全般は得意らしい。

また、読み書きもできるそうだ。


5人目の女性は15歳。

名前はセシリー。

つい先日、近くの開拓村から売られたらしい。

どうやら、最近、開拓村に疫病が流行り女性の両親は死亡。

更に今年の収穫が不作だったこともあり、村の税が不足したため、売られることになったらしい。

家事は家の手伝いをしていたため、それなりにできるそうだ。


ふむ、どうしよう。

と悩んでいたら、5人目の女性セシリーが話しかけてきた。


「お願いです。私の妹2人も一緒に買ってもらえないでしょうか。

一緒に買ってもらえたら妹共々死ぬ気でご奉公します」


と土下座する勢いで頭を下げてくる。

突然のことに戸惑ってベンさんを見ると困った顔をしながら説明してくれた。

昨日馬車にいた3人は姉妹だったこと。

まだ両親が死亡してから日も浅いため、妹達と別れるのに抵抗があること。

できれば同じ主人への販売を希望していること。

などを教えてもらった。

ちなみに、妹達は12歳と10歳で特別な技能もないため、姉と合わせて3人分で、4人目の女性とほぼ同じくらいの価格だそうだ。


うむ、重い。重いが、そんな話を聞かされてじゃあねとは言いづらい。

あえて良いところをあげると、年齢が若いので伸び代が大きそうなことと、姉妹をまとめて面倒を見ることで忠誠心が上がることではないだろうか。

甘いんだろうなあと自分で思いながら、ベンさんに値段を確認してみる。


「3人で金貨8枚と言いたいところですが、リョウさんですから特別価格として金貨4枚でいかがでしょうか?」


ベンさんがいきなりすごい割引をしてくる。

定価なら買えなかったのに、買える値段になってしまった。

これは買えという神様のおぼしめしのような気がする。

とか考えていたら、つい言ってしまった。


「わかりました。セシリー姉妹を購入することにします」


といきなり初めての奴隷を、しかも3人も購入してしまった。

これは衝動買いなんだろうなあ、これからどうしよう、クーリングオフ使えるのかなどと考えつつ、購入手続きを済ませていくことになった。


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