第十五話 ~ディケラにいこう(2) (改)
ディケラへの移動2日目
目を覚ましたらテントの中だった。
ここはどこだ。とか考えたが、昨日は盗賊に襲われているベンさん達を助けて一緒に野営したことを思い出した。
テントから出ると、ブライアンさんが朝食の準備をしていたので挨拶をする。
「おはようございます。傷は大丈夫ですか?」
「おはよう。傷ならもう大丈夫だ。それより朝食はもうすぐでできるから顔でも洗ってこい」
とのことだったので、裏手に移動し魔法で出した水で顔を洗う。
戻ると朝食の準備が整っており、ベンさんも来たのでそろって朝食を食べる。
昨晩は盗賊に関連する話ばかりでベンさんやブライアンさんのことを聞いていなかった。
そういえば、2人のステータス見てなかったので、確認させてもらう。
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名前: ベン
種族: 人間
年齢: 41
レベル: 4
体力: 26/26
魔力: 2/2
腕力: 5
器用: 7
知力: 8
運 : 6
技能:
目利き
犯罪歴:
なし
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名前: ブライアン
種族: 人間
年齢: 33
レベル: 7
体力: 40/40
魔力: 1/1
腕力: 9
器用: 5
知力: 4
運 : 5
技能:
中級剣術
犯罪歴:
なし
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ベンさんは商人らしく知力が高い。
ブライアンさんはレベル、体力、腕力が高く、技能に中級剣術もあるため強そうだ。
さすがに、盗賊団相手に長い間粘れたはずだ。
逆に言うと、このくらい強くても数には負けるということだろう。
自分もステータスは高いが気をつける必要があるだろう。
ちなみにブライアンさんは、ランクCの冒険者で護衛や討伐依頼を主にやっているそうだ。
ダンジョンにも何度か行ったことはあるそうだが、良いパーティに巡り会わなかったため、普段はソロで依頼を受けているらしい。
ベンさんはディケラにお店を持っている商人で、今回は商品の仕入れだったそうだ。
そういえば、何の商品を扱っているのか聞いていなかった。
「ベンさんは何の商売をなさっているのですか?」
「私はちょっと特殊なものを扱ってましてね。
せっかくなので見てみますか?」
ちょうど朝食も食べ終わったので、馬車に移動して見せてもらうことにした。
ベンさんと一緒に馬車まで移動して、幌の中を覗き込む。
馬車の中には布がかぶせられた箱のようなものがあった。
「私が扱っている商品はこれです」
と布をめくると、箱は檻で、中には粗末な服を来た女の子が3人いた。
年は一番大きな子で15歳前後、次が12~13歳前後、一番小さな子が10歳前後と思われる。
3人とも微妙に似た感じがあるので、おそらく姉妹なのだろう。
だが、なぜ檻に彼女らは入れられているのだろう。
不思議に思っているのがわかったのかベンさんが説明してくれる。
「彼女らは開拓村から売られた奴隷なんです。
開拓村だと不作などの影響で税が不足した際、村人を奴隷として売ることがままあるんですよ。
私はそんな村を回って奴隷として買い付けを行い、町に運んで売る奴隷商人というやつなんですよ」
奴隷という制度があること自体を知らなかったため、かなり驚いた。
昔の地球にもあった制度ではあるし、おかしいことは無いと思い直す。
たしかに奴隷制度があるなら、奴隷商人も普通の商人だ。
朝食も終わったので、後片付けをして進むことにする。
ベンさんの馬車に乗せてもらえるので、移動スピードはあがるし楽になった。
おそらく、今日の夕方にはつくことになりそうだ。
せっかくなので、御者台に乗せてもらって、ベンさんと話しながら進む。
ベンさんとの話題は大体奴隷についてだ。
おかげで奴隷について、色々知ることができた。
・奴隷というのは国が決める身分の1つで、扱い的には物となる
・奴隷になることが決まると国の施設で隷属の首輪という魔道具を付けられる
・奴隷は登録された主人の命令に逆らえなくなる
・主人が解放すれば一般の国民に戻ることも可能
・隷属の首輪を付けると奴隷になってしまうため、国が厳重に管理・運用している
・戦争の捕虜や犯罪者が奴隷になる場合は国により強制的に奴隷とされる
・それ以外の金銭などの理由で奴隷となる場合は本人の承諾を確認して奴隷とされる
・隷属の首輪を付けたり外したりは普通の人にはできない
・人気があるのは力の強い男性の奴隷、女性は力が弱いので大体安い
・元貴族であったり、剣術や魔法などのスキルを持っていると高くなる
大体こんなところだろうか。
ちなみにベンさんが言うには、冒険者がパーティメンバーとして購入することもあるらしい。
購入費用や装備費用など出費は多いが、配分が必要なく、裏切られることもないことがメリットなんだそうだ。
「奴隷に興味あるようでしたら、リョウさんもいかがですか?
今回助けていただきましたし、お安くしておきますよ」
と勧められたので町に着いたら店に行く約束をしてしまった。
途中、多少の魔物が襲ってくることはあったが盗賊などは出なかったので、予定通りその日の夕方にはディケラに着くことができた。
「リョウさん、ありがとうございました。
これは護衛の代金となります。
また機会があればぜひお願いします。
それと、明日にでもうちの店来てくださいね」
ベンさんは今回中に仕入れた3人の奴隷登録をするとのことで町に入ったところでベンさん達と別れた。
今日は時間がすでに夕方だ。
店などは開いていないだろうし、クエストの手紙だけ配達して、さっさと宿屋に行くことにしよう。
明日は町を見学してみよう。
ベンさんの店を見に行く約束もしているしな。
ということで、近くにあった宿屋に泊まり、1日ぶりの暖かい食事とベッドを楽しもうと思う。
8/5 手紙クエストの配達を追加




