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タイブレーク2

 ドキ、と正儀の心のなかでなにかがつついた。本社の女の子はみんな彼氏がいるはずだ。だけど新田さんと立野さんの反応は到底彼氏がいるとは思えない。白石さんはうそをついていたのか。それともまったく彼女たちから相手にされていなかったということか。

 そこへ新田が近づいてきた。

 「あら、ひそひそ話。立野さんかわいいでしょ」

 確かに正儀の好みにぴったりだった。背が小さくて、顔は可愛らしく、ミニスカートがよく似合っている。立野が答えた。

 「私のことタイプですって」

「あら、私にもきれいで素敵だといったわよ」と新田が釘をさす。

 正儀はどう対処していいのかわからず硬直していた。だが、頭のなかはなにかいわなければいけないと全神経を集中していた。そして口を開いた。

 「僕にとって二人ともど真ん中のストライクですよ。だけど皆さん彼氏がいるって聞かされていましたけど」

 「ははーん、依然いってたわね」と新田が微笑んだ。

 立野はさらに強い口調で「確かにボーイフレンドはたくさんいるけど、決まった彼氏はいないのよ」というと、すかさず新田が「ねえ、男選びは慎重にしないと」といって正儀にウインクした。正儀はまたしても不自然姿勢のままなにかをいわなければいけない立場だった。そしてコーヒーを一気に飲みほしてから「コーヒーありがとうございます、とてもおいしかった」と立野に礼をいった。そして次のことばが繋がらないことにジレンマを感じていた。

 「わぁーよかった、これからもよろしくね」と立野は瞳を輝かせていた。そして新田が「みんな揃ったら紹介するね」といわれてもこれ以上女性を紹介されるのはまっぴらと感じていた。

 「お気遣いありがとうございます」

 「またー、よそ行きの声出してかわいいんだから」という立野の声はみんなに聞こえるほど大きかった。正儀は返すことばがない。そしてこれからどんな事態を迎えるのか、一抹の不安が脳裏をよぎった。


 

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