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ビッグゲーム4

 オフィスを出た3人は裏手から赤坂の街に繰り出した。正儀はホワイトカラーと呼ばれるスーツ姿の人をこんなに多く見ることはいままで経験がなかった。正儀のもっているスーツなんて成人式のときに作ったネイビーのスリーピースしかない。キャプタルに出社することはやはりスーツになるのだろうか、と不安になった。だが白石はそんなことなにもいわなかった。FMの給料だったらローンでしか買うことができない。クレジットカードはもっていたが、当時はリボ払いなんて制度があるなんて知らなかったからだ。そこで正儀は白石に聞いてみた。

 「すみません、キャプタルに出社するようになるとやはりスーツを着なければいけないのですか」

 すると白石が突然噴出した。

 「あほ、そんな心配しいてたのか。俺たちはいいんだ。お客さんと接することもないし、ここでは普段着のほうがよく目立つだろ。キャプタルの内部でも彼らはキャプタルガイドを作るスタッフだとみんながすぐわかる。だからどのセクションでもガイドに関することは俺らに聞いてくるのさ。かえってスーツだとまずいんだ」

 「それを聞いて安心しましたよ。僕はスーツを1着しかもっていなかったから」

 「成人式用だろ。俺も似たようなものだ」

「でも当時はよく見えたスーツも社会に出るとみすぼらしく見えてくる。生地やデザインや仕立てが高いものとは全然違うんですよね。音楽関係者はみんな着こなしがすばらしいので僕は引け目を感じてしまうんです。だから自分でも着こなせる革ジャンとかジーンズを買ってしまう」

 白石は呆れた顔で「俺は飲み代と家賃がかさむからスリーパターンしかない。」

 「それもすごいね」と大野が笑った。そして赤坂のテレビ局近くで突然立ち止まった。

 「ここのカレーはすごくおいしいんだ。値段も手頃でチキンカレーが絶品だからきっと驚くと思うよ」

 正儀はインド料理のなかでも特にチキンカレーとナンには目がなかった。 

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