ファースト・インプレッション2
「すいません、この辺にFMクリエイトって会社知りませんか?」
「そこの喫茶店を左に曲がった右側のビルの2階ですよ」
「すぐわかるなんてよっぽど有名なんですね」
「だってよく花を届けますもの」
「ああ、そうか、なるほど」
「私が知らないように見えました、ショック。なぜ私に聞いたんです」
「かわいいから」
「わぁ、下心まる見え」
「ついでにソバージュにも弱い」
「私、明日モヒカンにする」
「僕はもっと好きになるかもしれない」
「ああいえば、こういうのね。大人気ない、私はあなたに興味ないし」
「あっそうか、ごめんなさい、仕事中ですよね」
「教えてくれてありがとう、お礼に真っ赤なバラの花を1本ください」
「1本ですか」
「はい、あなたにあげます。もう1度会えるという願いをこめて」
「え~、困ります、そんなつもりで教えたわけではありませんから」
「僕の勝手な願掛けですから、売ったつもりでそこにもどせばいいじゃないですか」
「え~、そんなことできません」
「じゃあ、あなたが仕事を終わるのをあそこの喫茶店で待ってもいいですか」
「え~、私にはつき合っている彼がいるんです」
「安心してください、この街の特色とか生活感が知りたいだけです」
「えー、そんなこといわれても困ります」
「そこをなんとか」
「え~、困る~!」
「面接があるのですいません、もう行かないと」
「私絶対行きません」
「はい、おつりはいいから、ありがとう」
「待っても無駄ですよ」
「気にしません、じゃあ」
「あ、おつりです」
俺は振り向くこともなく会社に向かった。