スケジュール5
「FMクリエイトとはえらい差だな」
「まあ、俺たちには一生かかってもこんなところの社員にはなれねーわな」
「僕はFMのほうが好きですよ。なんか堅苦しくて、これじゃおいそれと弁当も食えないじゃないですか」
「確かに、みんな会議室で食べるんだ」
「それにみすぼらしい弁当なんてここじゃ食べられませんよ」
「のり弁ってわけにはいかないわな」
「でも、赤坂の一等地で会社も多いから食いものには困らないぞ」
「目移りするだけだと思うんですが」
「誘惑には免疫をもっていたほうがいいぞ」
「赤坂で誘惑されたらあとが怖いですよ」
「怖かったら行かなきゃいいだろ」
「でも行かないとわからないし」
「どうしたいんだ」
「給料の多い人に出してもらう」
「いい女じゃないんだからな、無理だ」
「月末までお金がもちますかね」
「そりゃ心がけしだいだ」
「いままで白石さんはどんな昼飯を食べていたんですか」
「いつもみんなと一緒に食べに行ったからついていくだけだ」
「具体的には」
「日替わりメニューのところがほとんどだ」
「予算は?」
「1000円あれば心配ない」
「ひと月約3万円か、ずいぶんきついですね」
「あほ、普通だ」
「FMの給料の約4分の1じゃないですか」
「使い道は決めておいたほうが無難だ、俺もお金は貸せないからな」
「夜はもっと華やかじゃないですか。みんなで飲みに行くことも多いんでしょ」
「そこそこのつき合いはある」
「えー、ピンチじゃないですか」
「どうにかなるもんだ」
「デートなんてできないですよね」
「見栄をはらなきゃできるだろそんなもん」
「1000円や2000円というわけにはいきません」
「それじゃ女に出してもらえ」
「そんなことできるわけないじゃないですか」
「文句は社長にいえ、戦闘開始だ」