スケジュール4
「おい新人、入社そうそう3日間も休むとはどういう了見だ。連絡をくれたのはいいが、おまえが来なかったからキャプタルサービスに行くのが2日遅くなったぞ。締め切りに合わせてスケジュール作ってんだからこれ以上メチャクチャにするなよ」
「すみません、ひどい腹痛と下痢と熱が出ちゃって」
「まあ、今回は大目に見るけど、今後気をつけてもらうからな。これからのスケジュール表をよく目を通すように、返事は」
「はい、わかりました」
だが実際正儀はこの3日間新曲キャンペーンの資料作りでほとんど寝ていなかった。まだFMの仕事に頭が整理できていなかったが、そんなことはいってられなかった。さらに白石の甲高い声が頭に突き刺さる。
「それと、キャプタルサービスのガイドブック担当者と上司も紹介するから言葉に気をつけろ。おまえは大企業を相手にするのは初めてだったな。気を使うことも勉強だ、わかったな。それじゃ支度をしろ、すぐに出かける」
驚いたな、こんなビルにオフィスがあるんだ。家賃はひと月400万円をくだらないだろう。緊張するな。
「おい、新人ずいぶん口数がすくねーな。まさか驚いてんじゃないよな?」
「その驚いています」
「やっぱ、ハッタリもあるんじゃないか、おまえだってこんなビルでいつも仕事がしてみたいだろ。エレベーターが10基も20基もあって。NNTもそういうところにはお金を惜しまないのさ。社員の意識にはお金も必要ってもんよ」