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シークレット2

 「なるほどそれで辞めたというわけか。ところできょうはどんな話があってきたのかね」 

 「はい、入江良子の新曲キャンペーンの件です」

 「『赤いバラのエチュード』に興味があったようだが」

 「はい、新曲のコンセプトが知りたかったんです。おもしろいキャンペーンのアイディアがあったものですから」

 「じゃあ、うちの制作部の堀田がいるから詳しい話を聞くといいだろう。いま呼ぶから」

 「ありがとうがざいます」


 「はじめまして、丸山正儀です」

 「はじめまして、制作部の堀田淳です」

 「さっそくですが、入江良子の新曲第2弾『赤いバラのエチュード』のコンセプトをお聞きしたいのですが」

 「良子のデビューシングル『青春の雨音』はご存知でしょう。ミディアムテンポのバラードでスマッシュヒットを記録しました。でもデビュー曲は少し乙女チックだったかなと反省しているんです。内容は女の子の伝えたいけど伝えられない秘かな思いをうたったものですが、男性ファンよりむしろ女性ファンに共感を呼んでしまった。同性に人気が出るのは悪いことじゃないが、今度はさらに男性ファンの心をつかみたい、と考えていたのです。『赤いバラのエチュード』はまずエチュードというフランス語が雑誌を読んでいたとき目にとまった。ピンと(ひらめ)いたのです。そして調べたら音楽や絵の練習作品といった意味がある。これでいこうと思いました。つまり予行演習。歌の主人公が思いを寄せている男性の目には別の女性しか映っていない。だから主人公は自分の思いよりも、秘かに愛している男性の幸せを後押しする。そんな(はかな)い乙女心を表現したい。そんな狙いで4人の作詞家に作品を依頼しました。あさってが締切りなんです」

 「あんなにかわいい入江をあしげにするなんて僕にはとても考えられない」

 「入江自身も相手にされなかった経験があるそうです」

 「彼女いくつでしたっけ」

 「15歳です」

 「15歳のアイドル歌手にはちょっと難しいい内容かもしれないけど、入江にそんな気持ちがあると知ったらファン層も広がるかもしれないですね」

 「まあ、設定は演歌のようですがあとは作詞家のセンスしだいです。あっ、忘れていました、もちろん曲はできています。いま聞かせます」

 

 


 

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