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コンタクト5

 「そんなこといい訳になるんですか。自分の仕事を見せびらかすのもどうかと思うけど、白石さんは『FMピュア』をじっくり読んだことがあるんですか」

 「忙しいから見てないな」

 「彼女たちの仕事を理解しようとは思わないんですか」

 「お互いさまよ、向こうも俺たちの仕事なんて理解してねぇ」

 「それじゃあ聞きますが、どうしたら理解し合えると思いますか」

 「仕事のこととか、どんなことに興味があるかだとか、いろんなことを話し合うことだろうな、難しいが」

 「なぜ、違う部門というだけで、そんなにハードルが高くなっちゃうんですか。見てみないふりなんてよくないですよ」

 「そうか、俺は前しか見てないからな。たまには本社の男と酒を飲むが、奴らとはあまり仕事の話をしねぇな。本社の人間に仕事に行き詰ったなんて話をする奴はいねぇよ。ましてや違う部門の人間に愚痴をこぼすこともない。奴らは自分たちがこの会社の主役だというプライドがあるんだ、俺たちを下に見ているのさ」

 「僕は入社したばかりだから会社の仕組みがよくわからないけど、よくないところがあるのは感じませんか。彼らが主役でいいじゃないですか、実際に彼らがうちの会社の利益の大半を稼いでいるのは確かでしょうから。でも僕が納得がいかないのは、どちらが上でどちらが下なんてことを、仕事をするうえで意識するのはおかしいと思うんです。白石さんのひがみ根性がそう感じさせるのではないですか」

 「いいにくいことをはっきりいう奴だな。確かにおまえのいう通りだがこればっかりはどうにもならねぇ。おまえが革命を起こして会社の空気を変えるしかねぇな。おまえは俺たちの部門がいくら稼いでるかなんてわからないしな」

 「ひとつの雑誌をいくらの単価で引き受けて、どれくらい儲かるかなんてわからないですよ。会社によって利益が少なくても仕事がないよりかマシみたいなとこらもあるし、また実績があるからといってメチャメチャ単価の高いところもある。まあ、うちの部門は後者じゃないことは確かでしょうけど。でも新人頼みなんてちょっと情けないですね」

 「俺が率先する立場じゃない、できるくらいならとっくにやってるさ。ましてや俺が本社の女に愛しているといくらいったって相手にされねぇからな」

 「また、いう前におじけづく、もっとコミュニケーションをもちましょう。まあ、すぐには無理だろうけど、彼女たちだってそんなひがみ根性をもった人に魅力なんて感じませんよ。本社にいい女がたくさんいると白石さんも感じているんだったら張り合わずに仲良くしましょうよ。いい女がたくさんいるのにみんな外にとられちゃうなんて悲しいですよね」

 「いっとくがおまえが一番いい女とつき合うなよ」

 「そんなことわかりませんよ」

 「俺の嫌な予感は当たるんだ」

 「それならもっといいことに使ってください」

 「使い方がわからねぇーんだ」

 「本当に世話がやける」

 

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