コンタクト3
「ひとりの女の子を、高卒の僕と東大卒の男と争うというシチュエーションで、どうやったら高卒の僕が勝てるか、が鍵になります」
「へぇーおもしろそう、どうやったら勝てるの」
「東大卒が金なら、高卒の僕は金メッキ。だけど金メッキはいままでなくなることがなかった。なぜだと思いますか。それは金メッキにも価値を見出す人々がいたからです。若い女性に本物の金と金メッキのネックレスを見せて片や3万円、片や1500円のプライスであなたはどちらを選びますか、と尋ねたら新田さんはどちらを選びますか。一生もつつもりなら高いお金を出しても本物を買うべきです。ただ、取り扱いが繊細で気も使う。その点、金メッキは少々取り扱いを雑にしても気にならない。気を使ってもいいなら一生の伴侶ともなる金、気楽につき合ってみたいなら金メッキじゃないですか。取っ掛かりは何でもいい。ただつき合ってみればあなたにとって僕は金メッキじゃなくてダイヤモンドになってしまうかもしれない。人によって存在価値は変わります。巡り会わせってとても大切だと思うんです。だから、正解は金、金メッキともそれぞれ価値があり、どちらがいいかは個人差によって決まるというのが正しい答えかもしれません。東大卒に100パーセント勝てる方法なんてないのです。そんな方法があったら僕は職を変えています。東大卒に勝てる方法があるとすれば人事を尽くして天命を待つ、つまり悔いのない行動をしたら最後は僕のことを選んでほしいと神様に願うだけ」
「途中まで話の筋が通っていたけど、最後は神様にお願い」
「願いは恋愛の原動力だと思うんです、すべては受けとめてもらってからストーリーが始まるものでしょ。」
「ふーん、なるほどね。ところで彼女はいるの?」
「いいえいません」
「特定の彼女はつくらない主義?」
「そんな立場の男だと思いますか」
「私はあなたみたいタイプ好きだけどなぁ」
「中身がまだ発展途上です」
「そうは思えないな、いいののもっているし、かわいいし」
「ちゃかさないでください。先輩なら男を選べる立場でしょう、僕みたいなハズレくじ引くはずありません」
「ムキになるところがますますかわいい」