FIRE1 少年の名前
3回目です!遅くなってすんません!
よろしくお願いします。
新西暦1577年、6月9日。
俺は何時ものように、学校に行く準備をしていた。
俺の名前は多賀竜騎、特校に通う無能力者だ。
俺の両親は、父親が元「無能力者」で。
母親は公務員だ。
俺は母親が公務員だから特校に通わしてもらっている。
ちなみに特校とは「特別未成年学校」の略だ。
父親の事についてはまた今度話そう。
もう一度説明するが、この日本は身分が区別されて上から
天皇、首相、副首相、政治家、公務員、一般市民(ここでは収入がある者を言う)、学生(特校)、無能力者。
この順だ、ちなみに自分の収入が無い者も無能力者に属する。
すっかり話が長くなっちまった、残念だが俺は学校に行かなきゃならない。
俺は何時ものように、支度を済ませると朝食をとり、出発した。
車庫にある自転車の鍵を外し、自転車には乗らず無能力者用道路まで押して行く。
乗れば即逮捕だ。
街はとても綺麗だ。
国民の街は・・・・・・
しばらく歩くと無能力者用道路の入り口にたどり着いた。
ここは国道と違って汚れた道だ、分かりやすく言えば、ビル街の裏路地のような光景だ。
俺は自転車に跨ると自転車をこぎだした、道の片隅にはホームレスが屯している。
このホームレス達は見掛けこそ恐ろしい印象だが、とてもいい人達だ。
「おはようございます。」
と俺は自転車を止めて髭を生やした老人に挨拶をした、
「ああ、おはよう、朝から元気だねぇ。」
「学校があるんで、朝っぱらからどんよりしてたら教師に殴られますよ。」
ホームレスは「ははっ」と笑ってぼそりと呟いた。
「昔はワシもその位元気があったんだけどねぇ。」
とその後に「法律改正がある前はな」と付け加えた。
「法律改正」その言葉を聞いた瞬間、俺は胸が締め付けられた。
「・・・俺が変えてみせます・・・この日本を。」
「そうか・・・夢を持つことはいい事じゃ、だがその心、決して忘れてはいかんぞ。」
「はい、でも俺はこの事を、只の夢物語で終らせる気はありません。見てて下さい、俺は必ず実現して見せますよ」
俺は振り向きペダルに足を掛けた。
「待ってくれ、君の名前を聞かせてくれないか?」
「・・・多賀竜騎、この日本を変える男の名前です。」
「多賀竜騎・・・覚えておくよ、何時か君がこの日本を変えた時、私は君に会いに行くよ。その時まで覚えていてくれよ?」
「分かりました、俺がこの日本を変える時まで待っています。そして・・・方に神のご加護がありますように。」
俺は老人に向かって首に掛けた十字架を掲げ、自転車をこぎ始めた。
「ありがとう、世界中の人が君みたいな性格を持っていたらな。」
俺はその言葉を背中で受け、ひたすら自転車を走り進めた。
学校の校門に着いたのは、遅刻ギリギリの七時五十五分だった。
校門の前に居た教師が、俺を呼び止めた。
「おいっ!多賀!止まれ。」
その言葉で俺は自転車を止めた。
「はいはい、何ですか?先生が、無能力者の俺に話を掛けてくるなんて。」
そう振り向いた俺の頬に拳が飛んできた、俺はそれを寸での所で受け止め、振り払った。
「何ですか?先生、俺はまだ何もしていませんよ。」
「黙れ、無能力者が、無能力者の分際で一般市民に、しかも年配の人に向かってその態度は何だ?」
「何だじゃありませんよ、先生こそいきなり生徒に殴りかかるなんて、世間に知れたら大変ですよ?」
「黙れ!!貴様はこの高校の生徒では無い!無能力者には人権が無いからな。」
「そうですか・・・、では先生は無能力者はここに居てはいけない、というのですね?」
「そうだ!!!!正直、俺はお前が嫌いなんだよ!!無能力者の癖して、親のおかげでノコノコと特学なんかに来やがって!!!」
俺は冷たい目で教師を睨んだ。
「どうした!!その目は!!ヤレルもんならやってみな!!」
「敗者ッ・・・いや?負け犬とでも言っておく、とにかくお前に用は無い。」
俺は振り返りそのまま歩き出した、
「おい!!!無能力者の癖に逃げるんじゃねえよ!!!」
「黙れ、もう一度言う、お前に用は無いと・・・・・・」
俺はそのまま玄関に向かって歩いていった・・・
俺の日常はこうして始まる、教師に罵られ、暴力を受ける、其れが俺の日常。
しかし、こんな日常は只の機械と同じような日常だ。
毎日同じ行動をして、つまらない日常を過ごして暮らす。
そして、つまらなく死ぬ・・・・・・
俺はそれだけは一番嫌だ、必ず変えて見せる・・・・
このつまらない奴隷のような日常を・・・・・・・
必ず・・・きっと・・・
誤字脱字などがございましたら、教えていただけたら嬉しいです。