FIRE11 戦場
と言うことで、活動報告にも書いたように、投稿です。
PM5:00、第二相模市、廃工場。
竜騎は、爆音が響く塹壕の中で、一人後悔をしていた。
人を・・・殺って・・・しまった、あんなに簡単に・・・あんなに呆気なく。
竜騎は、人が殺し合う場所に、自分が今居る事実。
そして、その場所で、衝動的に、唯自分を守るために、人を殺めてしまった事実。
様々な思いが交差し、竜騎の手足を震えさせた。
その様子に気付いた吉田が、竜騎に走り寄って来た。
「竜騎さん!如何しました?早く行きましょう!」
竜騎が、正気を取り戻し、辺りを見回すと、既に後退を始めていた。
周りには、吉田と和良達、沢山の零解放組織の人たちの死体、沢山の銃。
「だめだ・・・」
竜騎はふと呟いた。
「如何したんですか?何が駄目なんですか?」
吉田が、竜騎の肩を揺さぶりながら、聞いた。
「ライフルなんかじゃ・・・勝てるわけが無い・・・」
「!?・・・」
竜騎の答えは、吉田を大きく動揺させた。
政府の兵士達は、主に89式小銃と言う、自動小銃などを装備している。
だが、竜騎達は、旧式のボルトアクション式のライフル。
差が在り過ぎる、これでは、戦いにすらならない。
「とにかく!今は此処から離れましょう!」
吉田は竜騎の肩を持ち、走り出した。
竜騎は、走っている途中、後ろを振り返った。
敵兵が、塹壕に入り込み、生き残っている人達を撃ち殺す。
命乞いをしている者も居る、しかし、何の躊躇いもせず、自動小銃を撃ち放った。
命乞いをしながら、悲鳴を上げ、血を噴き出し倒れる人。
乾いた音と、断末魔の叫び、怒声、敵の笑い声。
竜騎の耳に入ってくる音は、全てが新鮮で、全てが、もう聞きたくないと、本気で思えた。
地下通路に入ると、既に敵に入られていた。
吉田は、ライフルを物陰から打ち続けた。
刃澄は、その側でしゃがんでいた。
和良と政義、雄也達は、唯、恐怖に震えていた。
竜騎も柱の陰から、ライフルを撃った。
しかし、反動のせいで、全く当たる事は無かった。
吉田が撃つたびに、敵の声が聞こえた。
「待て!柱の陰に居る奴は、弾が当たってこないぞ!もう一人を殺れ!」
「クソ!腕をやられた!」
どうやら、敵の狙いは命中率が良い、吉田のようだ。
竜騎は、自分に気を逸らさせようと、ライフルを撃つ。
しかし、どの弾も、敵には当たらず、近くの壁や天井に当たる。
すかさず、敵が小銃を撃ち、竜騎からチャンスを奪う。
「クソ!このままじゃ・・・!」
竜騎はリロードをしながら、呟いた。
ライフルの残弾は三発、既に装填している弾を合わせれば、残りは八発だ。
敵は五人、全員が89式小銃を装備している。
竜騎は、考えた、しかし解決方法は見つからない。
その時、敵が居る通路から、何かが転がってきた。
それは、深緑の色をした、球体だった。
竜騎は、それが何なのか、いち早く理解した。
「皆!伏せろ!!手榴弾だ!」
竜騎は全力で、手榴弾を蹴飛ばした。
蹴飛ばすと同時に、竜騎は柱の陰に、素早く滑り込んだ。
滑り込んだ瞬間、爆音と共に、手榴弾が爆発した。
爆音と同時に、竜騎も足に激痛が走った。
竜騎の視界が、砂埃で何も見えなくなった。
そろそろ、波に乗ってきた感じです。
これからもよろしく。