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FIRE10 殺害

新年明けましておめでとう御座います。

何と言うか、とても今年は激動の一年だった、と思います。

これからも、この2012年よろしくお願いします。

脱出口を目指して、地下通路を走っているときに、竜騎は静かだった。

その時、竜騎は考え込んでいた。

もしかしたら、自分のせいで、此処がばれたんじゃないか、と。

しかし、今そんな事を悔やんでも、何も戻らない。

竜騎はそう考えた、そして動かしている足に、更に力を込めた。

途中、通路が終わっていた、終わっていたと言うよりは、無・く・な・っ・て・い・た。

無くなっていた、と言うのも、恐らく爆発で崩れたものだった。

「クソッ!此処は駄目か。じゃあ、あっちの通路を通るしか無いか・・・」

吉田は壁を蹴って、呟いた。

「どうかしたんですか?早く別の通路を見つけましょう」

竜騎は声を掛けた、すると、吉田は竜騎の表情を気にしながら、話を切り出した。

「実は、此処の他に通れる場所は、無い訳ではないんですけども、前線の塹壕を通る事になってしまうんです」

要するに、此処の他に目的地に着くには、迎撃態勢に入っている、前線陣地の塹壕の中を、突っ切って行かなければならない、と言うことである。

しかし、竜騎はそんな事はどうでも良かった。

「でも、そこしか無いのなら、行くしかない!」

竜騎は、竜騎の眼は、『生きる』、唯それだけが表われていた。

「分かりました、十分な覚悟をして下さい」

吉田は諦めたのか、全員に確認をとった。

「当たり前でしょ、覚悟なんかしないわけ無いじゃない!」

刃澄は、余裕の表情でそう言ったが、足が強張っているのを見れば、恐怖が募っている事が分かった。

「やるしかないんだろ・・・」

和良は、溜息混じりに呟いた。

「竜騎さんが行くのなら、着いて行くだけです」

政義は、とっくに覚悟が決まっている様だった。

「やってやる・・・全然大丈夫だ!」

雄也もそう言った、ここに居る全員は、既に覚悟が決まっていた。

「行きましょう」

吉田は、再び元来た道を、走って戻った。

「行くぞ」

竜騎も走り出した、また地面が揺れ、皆がよろめいた。

塹壕にたどり着くと、外の空気を身体に受け、竜騎は辺りを見回した。

塹壕の広くなっている所では、担架に乗せられた怪我人が居た。

血塗れの人や、腕が不自然な方向に曲がった人、腕が途中から無くなっている人も居た。

銃声や爆発音、悲鳴や怒声、様々な音が鳴り響き、竜騎の耳を刺激した。

竜騎は、吐き気がして、その場に座り込んだ。

すると、一人の兵士が銃を片手に、吉田に向かって来た。

「どうした?此処は最前線だぞ!危険だ避難しろ!」

どうやら、警告をしてきたらしい。

「あちら側の通路が、爆発でやられたんです!此処を突っ切るしかありません!」

「だったら、護衛の一人や二人何故つかせない!銃弾が当たったらどうするつもr・・」

しかし、その言葉が、終わらない内に、兵士は頭を撃ち抜かれて、地面に倒れた。

「!?、しっかりして下さい!・・・クソ!」

吉田はライフルで、塹壕の向こうに居る、敵を狙って撃った。

しかし、敵に当たった気配は無く、銃弾の嵐が塹壕を襲った。

「クソッ!・・・」

竜騎は、ポツリと呟いた、しかし、その言葉を聞いている者は居ない。

すると、竜騎の目の前に、ライフルが落ちている事に気付いた。

「やってやる・・・!」

竜騎は、素早くライフルを拾い上げ、弾を確認した。

五発フル装填がされてあった、ボルトハンドルを引き、弾を装填する。

塹壕に落ちていた、鉄のヘルメットを拾い、頭に被った。

「喰らえ!」

そして、塹壕から頭を出し、狙いを定める。

しかし、銃弾の嵐のせいで、狙いが定められず、頭を下げた。

銃弾が収まったのを見計らって、頭を出し、狙いは定めずに、引き金を引いた。

その瞬間、物凄い銃声と共に、肩に衝撃が走った。

「反動が!・・・」

直ぐに頭を下げ、弾を装填する。

そして、弾幕が収まると同時に、頭を出し、今度はよく狙った。

一人の兵士が、こちらに向かって走って来るのを見つけ、それ目掛けて、引き金を引いた。

また、肩に衝撃が走ったが、グリップを強く握り、反動を抑える。

それとほぼ同時に、敵が身体から血を噴き出し、その場に倒れ込み、動かなくなった。

その時、竜騎は気付いた。

俺は、俺は初めて人を殺してしまった、と。

戦闘の最中、その事で竜騎は思考停止になってしまった。


戦闘は、まだ続く、これから先も、ずっと、ずっと。


次回「FIRE11 戦場」

お楽しみに。

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