FIRE8 零解放組織
ストックです、宜しく。
竜騎達は、スラム街の中を進み、ある一つの場所に着いた。
そこは、スラム街の中では一際目立つ、寂れた廃工場だった。
「な、なあ竜騎、ここに一体何があるんだ?」
少し引き気味な声で、雄也が尋ねた。
「いいから、シャキッとしろ」
竜騎は構わず、廃工場の入り口まで歩いて行った。
そして、大きな鉄扉に手を掛け、横に開いた。
鉄扉は錆びていて、動くたびに鉄と鉄が擦れあう、耳障りな音が響いた。
「よし、入るぞ」
竜騎は皆に呼びかけ、中に入り、皆はその後を付いて行った。
「ちょっと竜騎、何も無いぞ」
和良が呟いた。
「一体何があるんですか?」
と政義。
竜騎何も言わず、唯、奥に進んでいった。
「ッ!」
咄嗟に竜騎が、腰のベルトから拳銃を取り出した。
「おい?竜騎、どうしたってウワァ!」
雄也が尋ねたが、その質問を言い終わる前に、皆に光が照らされた。
「クッ!何だ!?」
目が慣れて、皆が辺りを確認すると、頭上の鉄筋、二階の通路、そして直ぐ前に銃を突きつけた男達が居た。
「止まれ!学生が何の様だ!?」
リーダーと思われる、背の高い男が銃を突きつけながら、こちらに歩み寄ってきた。
「何、怪しい者じゃない、それにこっちはアンタに少し話がある」
竜騎は手を挙げながら、フードを外した。
「一体誰だ・・ってえ?竜騎?竜騎じゃないか!」
「こんにちわ、久しぶりですね、東条さん」
リーダーと思われる男が、銃を下ろし、竜騎に走り寄った。
彼の名は、『東条双吉』多賀鵬斗の死後、零解放組織の総裁となった。
鵬斗とは昔からの友人で、鵬斗が総裁の時、幹部として鵬斗を支えた男だった。
たまに竜騎は鵬斗に連れられ、双吉と会っていた。
「竜騎、久しぶりだな。何年振りだ?」
「そちらこそ、全然変わりが無いですね」
つい先程まで、殺気が漂う空気とは一転、二人は笑いながら昔話をしていた。
その後ろ姿を見ながら、和良が溜息を吐き、二人に話し掛けた。
「おい、竜騎。で、一体何が目的で来たんだ?」
「ああ、おっとそうだった」
竜騎はハッとした顔をして、双吉の方を見た。
「東条さん、少しお願いがあるんです」
「ん?何だ、言ってみろ」
双吉が首を傾げながら言った、竜騎は小さく頷き、口を開いた。
そして、言葉を発した、はっきりと、前を向いて。
「実は、銃を購入したいんです」
竜騎は真剣な目つきで、そう言った。
確かに、そう言った。
クリスマスですね、良いですね。
次回予告「FIRE9 武器」