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追いかける側と追いかけられる側~高校サッカー選手権~

作者: 水嶋捺
掲載日:2026/08/19

「なんであいつなんかが……!」


翔は俺達の部活でエースとして活躍し、エースとしてゴールを決めた。

反して俺は誰かの後退待ちの補欠選手。

同じ高校に入ってからはいつもこうだ。


翔はサッカーが上手だった。

同級生で、中学生のときは俺も翔もサッカーのクラブチームにも入っていた。

そのときは俺だってまだあいつと同じくらいできたんだ。


なのに……!

全国高校サッカー選手権のこの予選でさえも俺は先発で出場できないでいる。


俺の何が悪い。

こんなに努力してるのに?


こうして今日も翔の2ゴールが決め手で俺達のチームが勝った。


俺達のチーム?

俺が出場できないのに?


そんな気分のまま俺達は控室に行った。


「今日も翔はさすがだったなー!」

監督は翔をべた褒めするしチームメイトもそれに乗る。


「大樹!」

翔を呆然と見ている俺に同じ補欠メイトの大樹が腕を組んできた。


「仕方ないじゃん!まだ俺ら1年だぜ!まだこれからっしょ!」

「だといいんだけどな」


騒々しいチームメイトは控室から出ていく。

翔はなぜかこっちにやって来た。


「なあ、お前どうしたんだよ」

「なんでもねえよ」

「そんな訳ねえじゃん!言ってみろって!」


俺は息をのんだ。でも頭に血が走ってしまった。


「じゃあ言ってやるよ!なんでお前ばっかり!俺だってできるのに!」

監督が「忘れ物~…?」と戻って来るなり空気の悪さに気づいた。


そんなのも気にしないくらいに俺は熱くなっていた。


「なんで俺じゃねーんだよ!」

「俺だっていいことばかりじゃねーんだよ」

「は?」

「じゃあ俺と代わってみる?」

「喜んで代わるさ!」

「監督?聞いてましたよね?次の先発俺の代わりに大樹が出ますから!俺と同じように接するように周りに伝えて下さい」


監督は呆れるように頭を掻く。

「いいけどよ」


こうして啖呵を切って帰り、次の日もその次の日も俺は先発として練習した。

そして、運命の三日後、俺は先発出場した。


「おい!大樹!翔の代わりってことはわかっているのか?」

同じく先発出場の先輩が声をかけてくる。

「わかってますよ!」

「じゃあ2点くらい決めてくれるんだな!」

「え……」


先輩が苦笑いをして言う。

「翔は1年で先発出場ってことは、いつもこの期待を裏切らなったから成せた偉業なんだよ。見ろよ、ベンチにいるのは1年だけじゃない。3年だっている。夢を叶えられない先輩たちのプレッシャーも背負うってことなんだよ」


「あっ……」


見えていなかった。自分のことしか。

隣の芝生は青い。

あいつは同じ1年でこんなプレッシャーに耐えていたのか。やるな。


俺はベンチに座り、強い眼差しでこちらを見てくる翔を強い眼差しで返した。


俺も俺のすべきことから始めないとな。


その日の試合は俺なりに粘り強く、

なんとか1点を決めたのでした。







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