道端に落ちていた石
中学の帰り、足元をみながら歩いていたら石が落ちていた。
その石は道端に落ちている普通の石。
だが、少年には特別な石に見えてしまった。
その石を拾おうと拾うと触れると、何かが流れて来た。
人の首を斬る瞬間だった。
「ぅわっ」
咄嗟に言葉が出て、石から手を離した。
それぐらいにグロテスクな映像だったから。
だが、今のは本当に映像なのか?
誰かの記憶みたいな物だった。
もう一度、石に触れるが何も見えなかった。
不思議な石だなと思った。
流石に少年も怖くなってしまい、石は持ち帰らなかった。
それから、少年の世界が彩り始めた。
次の日の登校時間に行くと、まだ石はあった。
ゴクッと固唾を飲んで、触れてみた。
猫と猫が戦っていた。
茶色と白色の猫と、黒猫だ。
縄張り争いだろうか。
勝ったのは、黒猫だった。
茶色と白色の猫は血を流して倒れていた。
そして、その映像は終わった。
もう一度触れても、現実の光景だった。
下校時間にまた来た。
触れるが何もなかった。
次の日の登校時間、触れてみる。
子供達が遊んでいた。
ボールを蹴っている。
サッカーみたいな事をしている。
それだけの、平和な映像だった。
下校時間に触れると、何もなかった。
その次の日、少年は下校時間の時間の時に触った。
触れると、泣いている女の子2人がいた。
喧嘩でもしたのだろうか。
石を離さない。
次の場面に移り、車が通っていた。
今日は離さなければ、映像を見続けられる事を知った。
そしてもう1つ、1日に1回だけ見れることも知った。
離してもう一度触れる。何も起こらなかった。
その不思議な石を今日は持ち帰った。
夜、その石を持ちながら眠った。
色々な映像が見れた。
母に起こされて起きた。
この石は、視界が奪われるだけで耳はどちらの音も聞こえるので起きれた。
たまにグロテスクな物や面白い物、怖い物もあるが面白かった。
それから1年が経ったと思う。
音は聞こえるが、視界が奪われたままだった。
石を持って居ないのに。
それからだろうか、少年の人生が狂い始めたのは。
視界が戻らなくなり、仕方なく母に助けを求める事にした。
母に今まであった事を全て話したが、信じては貰えなかった。
だが、「この部屋に石はないわよ」と言われた。
何故だと頭を悩ませた。
もしかして、石が体の中に入ったのかも知れない。そう言う話を聞いたことがある。
それからは、少年の母を説得し病院に行った。
本当に石が入っていた。胃の中に。
寝ている間に飲み込んでしまったのだ。
それからは地獄だった。
グロテスクのものばかりが流れ、吐いてしまう様になった。
お祓いにも行ったが、効き目はなかった。
そして、最終的にはその少年は自殺してしまった。
そんな映像を、会社員の男性は石に触れて見てしまったのだ。
1週間程毎日石に触って見てきたが、流石に怖さが増した。
昨日、何かの体の中みたいな映像が映った。
もしかして……
「ぉえ」
吐き気が襲ってきた。
道端なので吐くわけにはいかなく、無理矢理吐くものだった物を飲み込んだ。
男は蹲る。
この石は、どうやって出てきたのだろうか。
どうやって少年の記憶を見たのか。
どうやって会社員の男性に見せたのか。
それを考えると、怖くなってしまう。
腰を抜かしてしまったのだ。
少ししてから、男は急いでその場所を離れた。
それからは会社員の男性は、そこを通るのを辞めた。
会社員の男性には、その石がどうなっているのか、今は何処にあるのか知らない。
知りたくもない。
もしかしたら、研究所等に出せば面白くもなりそうという考えも浮かんで来たが、彼処に行って石を触ると意識すれば、足がすくんでしまって行けなかった。
会社員の男性は完全に、恐怖に支配されてしまったのだ…。




