オモチャ売り場
少年が迷い込んだ場所には、オモチャが沢山!
明るい音楽が耳に届き、少年は眼鏡を押し上げて立ち上がる。
見回すと、そこには沢山のオモチャが置かれた棚があった。
自分が眠っていたのは棚の横につけられたミニソファらしい。
パステルカラーのタイルを踏みしめて少年は歩く。
ビーチボールのビニールの匂いやラジコンのタイヤのゴムの匂い。
ぬいぐるみの温かい目やデモ機のループ音。
三輪車まである。
公園までよく走っていた事を思い出した。
懐かしく感じるが、少年は何故ここにいるのか分からなかった。
それに人の気配や音がしない。
その時点でどこかおかしい。
オモチャだらけの場所を、少年は違和感を感じながら進んで行く。
(本当に誰もいないのか…?)
出口までのマップがないかと柱や壁を見てみるが、そんな表示もないみたいだ。
レールを走る電車の模型の音を聞きながら歩みを進めると、ドールハウスの近くから音がした。
キイッ…キイッ…キイッ…
三輪車がゆっくりと、こちらに向かって来ていた。
誰かが乗っているみたいにペダルがクルクルと回転している。
(科学的に…幽霊なんてあり得ない…)
しかし少年はゾッとし、慌ててその場を離れた。
突如として、周囲の音が少し大きくなった。
軽やかに流れていた音楽も少しずつアップテンポになっていく。
「なんだよコレ!」
レールを走る車の音や、オモチャ同士が擦れる音が、やけにしっかり聞こえる。
それに、音が少しずつ高くなったり低くなったり規則的だったリズムがズレていくようだった。
また、どこかで三輪車のキイッ…キイッ…キイッ…という音がした。
高熱でうなされている時の夢に似た感覚を覚える。
走る少年のスニーカーの音があたりに反響していた。
その事実に少年は不安感と強い恐怖心を抱いた。
カラカラに喉が渇き、手に汗がじわりと滲む。
ここは、どれだけ広いのか。
(僕はここから帰れるのか…?)
肺が痛い、呼吸がしづらい。
見渡しても、オモチャ、オモチャ、オモチャ…
出口なんて見当たらない。
永遠に僕はここから抜け出せないのだろうか。
そんな時、恐ろしい程あるオモチャの海を駆け抜ける少年に希望の光が差した。
奥が光っているのだ。
淡い黄色の光。
少年は一気にそこへ向かって走り出した。
全身の力を足に込めて、走り抜ける。
ついに光へ足が届いた。
少年は心からの喜びと安心で涙が溢れた。
良かった。やっぱり、ただのオモチャ屋だったのだろう。
ようやく家に帰…
トサッ
オモチャコーナーに似たドールハウスから、人形が落ちた。
小さな眼鏡が、顔からずり落ちていた。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
オモチャ売り場のようなワクワクする場所を題材にしたく作成してみましたφ(..)
もし気に入ってくださったら他の作品も読んでくださると嬉しいです!(≧∇≦)




