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人形症候群  作者: 十夜 萌永
3/3

続き


セツナがユウタに奪われたモノ

もう戻らない

振り向かない

「なぁ、ユキナ…。」

「軽々しく過去を話さないで。」

シュンタの瞳が見開かれる。

「“ユキナ”だった頃の記憶は捨てたい。」

瞳が揺らぐ。

私は続ける。

「私は“セツナ”なの――。じゃないと、ドールでも人を斬れない。言ったじゃない。」

視線がそれた。

シュンタは口を開いた。

「俺の中ではいつまでも“ユキナ”だ。いくら変わったって、ユキナなんだ。」

悲しそうな顔。

瞳が涙で揺れている。

「-っ」

何か言おうとしたその時、間の抜けた声がした。

「コラー!ハルタにユキナー!帰ったならサッサと報告しろっ!…あれ、なんかタイミング間違えたか?ワシ?」

…クソジジイぃ。

このおっさんは総家笑与ーエタ。ふざけた名前だ。笑顔を与えるなんて。

多分60は越えた爺さん。

だけど見た目は40ぐらいのおっさん。

人形壊、ドールクラッシャー――DKのリーダーでもある。

――そしてユリカの父だ。

よくこんなおっさんから産まれたなって思う。

「おっさん、私の名前はセツナ。なんべん言えば覚えんのよ?」

おっさんは眉をあげた。

「いつもならユキナでも怒らんのに、何カリカリしてんだ。それにおっさんと呼ぶな。お美しく、気高くて格好いいエタ様と呼べ。」

「…分かりました。自称お美しく、気高くて格好いいエタ様?今すぐ死にたいらしいですね?」

私は剣を抜いた。自称お美しく、気高くて格好いいエタ様の首筋に当てた。

「嘘嘘嘘嘘嘘!やーめーれっ!いいよおっさんで。てゆーかワシよりハルタだろ?原因!」

盗み聞きか。おっさん。

「ユリカに挨拶しなくてよいのか?」

「彼女は人形よ。もう正真正銘の。人形に挨拶するの?」

私は自身にむけて皮肉を言ったつもりだった。

「今なら研究員もいないのになぁ。そうかそうか。」

にやにやしておっさんは言う。

「う゛ー…。」

「ユキナ、行くのか?」

シュンタ…。さっきまでしょんぼりしてたくせにっ。

「分かったわよっ!行くわよっ!てゆうか私はセツナだからっ!」

私は当たり散らして、ユリカがいる部屋に向かって歩き始めた。



ユリカがいる部屋は本部の一番奥。

特別な人しか入れない部屋にいる。

コンコン。

ドアをノックする。……返事はないけど。

「ユリカー?居るなら返事しろー?入るぞ?」

おっさんはそれでも話しかける。

お医者さんが“根気よく話しかけた方が良い”とかなんとか言ったから。

ユリカの部屋はドアを入ってすぐ階段だ。

長い階段を登ると、天井に行き着く。天井を一定のリズムで叩くと天井が開く。最先端技術らしい。

天井の上。

一面が硝子の部屋だ。

他は白い壁に床。高い天井。

そこにユリカはいる。

23歳。

ユリカと、呼び捨てにしているがユリカは23歳だ。だけど見た目は少女だ。

人形のように整った顔。白く滑らかな肌。長い黒髪。

当たり前だ。

ユリカは中に人形を宿してる。



疲れた…


次は過去編ですた

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