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人形症候群  作者: 十夜 萌永
2/3

人形症候群 ―ニンギョウシンドローム― 保朝 弓亜


2***年 地球

―今世界の5割の子供が人形症候群である。



暖炉の前に一人の少女。



少女?



ポキッピキッ



間接がつなぎ目のような後がある。

動きが不自然だ。人体で曲がるはずのないところが曲がってる。


まるで人形。


人形症候群。

今世界に流行っている病気だ。

皮膚が硬直し、人形のようになってしまう。


最後には微笑みを浮かべて心臓が止まる。

そして、人を襲う。


今から話すのはセツナの話。

恵比寿 雪那。17歳。

―エビスユキナ。


彼女を中心に世界はまわる。回る。廻る。




では、本を開きましょう。

暗い世の中だ。

巡回中だが、新聞を開いて私は思う。

「どうした。ユキナ眉間にしわがよってるぞ。」

よりたくもなるわ。ほっとけ。


でも…好きな人に言われたらおしまいだ。


私は恵比寿雪那。17歳。

ユキナじゃなくてセツナ。 ―こいつはまだ間違えてる。


こいつは目黒春太。

ハルタ、シュンタどちらとも読める。

本名はハルタ。

今は―。


―あの日以来私達は名を変えた。

ユキナからセツナに。

ハルタからシュンタに。


「またなってる。」

まだいうか。

「ユキナは笑ったほうが可愛いよ」


…―自分の顔が赤くなるのがわかる。

マジ反則…。


「あれ、ユキナ風邪?顔が赤いよ?」


KY。しかも重度の。

それじゃなきゃもっとモテるのに。

―いや、私困るじゃん。

てか、何焦ってんの私。


「―ユキナ?」

「あっ、ごめん。」


呼ばれたのに気がつかなかった。

私は新聞を閉じて、鞄につっこんだ。


「人形症候群の記事?」


人形症候群―にんぎょうシンドローム今流行っている、病気だ。

治療薬は開発されてない。

たぶんこれからも出来ない。

あれは進化している。

毎日。秒刻みに。強くなっていく。

アレはそういうものだ。


「ピーー、ドール発見至急逃げてください!繰り返します…」


警報装置がなった。


ドールが現れる。

人形症候群にかかった人の末、ドール。

理性をなくし人を襲う。


ドールを止める手段は一つ…―


「コラ、そこの小学生と高校生早くにげなさい!」

「小学生…?」


私はその警官に歩み寄った。


「誰が小学生よっ!」

「そうにしか、見えないだろう!とにかく逃げなさい!」


噛み付くように言った私に圧倒されたのか、たじろぐ警官。


「バカ。こいつ、高校生!」


そう言って警官にチョップしたシュンタ。


「それに、俺は中学生!」


どうも、弁解ありがとう…。

ちょっと複雑。


「分かったから、早く逃げなさい!もうすぐ、人形壊(ドールクラッシャー)がくるから!」


よろける警官。

まだ、チョップきいてる…コイツ。

もぉ行っちゃお…。


「待ちなさい!ドールにやられるぞ!」

「あー、言わなきゃ分かんない?君?」


シュンタが言う。

そして、警官の顔の前に腕章をつきつける。


「まっ、まさか!」


ベタな驚きかたね。


「DK―ドールクラッシャーですから大丈夫です。」


―そう、ドールを止めるただ一つの手段。

世界に百人もいないといわれてる。

私とシュンタは最年少ペア。


腰を抜かす警官。

黒い笑顔でいうな。

私言われたことなくってよかった…。




ビシャッ。




警官の頬から血がでる。


「ウッ、ウワアァ!」

ドールが来た。


「パァァァ!」


シュンタの防御システムが発動した。

発動するのは、ドールが半径五メートルにいるとき。


私は周りを見渡す。


血に染まった少女のドールが迫ってきた。


「…―シュンタ、援護お願い。」

「分かってる。」


もうしゃべれない警官をおいてシュンタが言う。

私は飛ぶ。


「ガキィイン!」


鈍い金属音が辺りに響く。


ドールの体は硬い。

心臓以外は。


だから、心臓をめがけて…


「ガッ、ゆキ那ァ…」

「お前…、悠太のしもべか!?」


悠太―、ハルタいや、もうユウタだ。

私達がDKになった原因。


そして、ドールの中心。


「ガッ、ブッ、久しぶり。」


急に声が滑らかになった。


「ユキナもハルタもDKになったの?」

「もう、ユキナでもハルタでもないわ。

私達はセツナとシュンタよ!」


貴方のせいで―


「私達?随分仲良くなったんだね―?

僕抜きで…」

「お前はっ、ハルタではないっ!」


グシャ。


何回やっても好きになれないこの感触。

殺ったか―?


「セツナ!」


シュンタがこの名前で呼ぶ時は本当にピンチ。

でもドールは私の前。


急に、

後ろから服をひっぱられた。


べちゃ。


私は血にすべって転んだ。





後ろを見たら警官が私の足をつかんでる。


「ちょっと!こいつを倒さないといけないのよ!」


警官は頬をあげ言った。


「あの人形は私の娘なんだっ!」

「だから?」



私は即座に言った。


警官にとっては大切な娘だけど、他の人にとってはドールでしかない。


人形壊―DKの私の指名はドールの始末。


私は人形の攻撃を避けず、向かって来るドールに剣を刺した。

心臓を今度は確実に刺した。


父親の目の前で。


「あっ…!」


倒れた人形を見つめる警官。


「友梨香ァ!」


人形の名前は友梨香…ユリカだった。

いや元の名前か。

あの人の名前と一緒だ。ユウタの差し金か。


――胸くそ悪い。


「…お巡りさん。特別条例人形症候群法第一法によって人形症候群にかかった患者は近くの症候群センターに渡さなくてはいけませんよね?」


シュンタが言った。


もう完璧に抜け殻となったドールを抱えて泣きながら、警官は叫ぶ。


「ドールになったって友梨香は私の娘だ!お前らは人殺しだ!死んじまえ!友梨香を返せぇ!」



よくこのようなケースは報告されてた。


まさか私達に回ってくるとは思わなかったけど。

症候群センターに連れて行っても処分されるパターンが多い。



ごくまれに例外――私達のように、シンドロームが効きにくい子供もいる。


どっちが良いのか分からないけど。


「あんた、舐めてんの?あんたの娘が撒き散らしたシンドロームのせいで同じ思いをした人がまた生まれたの!またドールが生まれた!」


私は叫んだ。


もう我慢ならない。

自分のことだけを考えるなんて。

人ってこんなものなの?

私は対ドール用の剣に手をかけた。


「ユキナそこまで。」


優しい口調だけど、真剣な瞳でシュンタは私に言った。


「……っ!」


シュンタは私の腕をつかんでる。


「分かったわよ……。」

私は剣から手離した。


あの瞳は苦手だ。

まっすぐ過ぎて。



「お巡りさん、娘さんが亡くなったことについてはお悔やみ申し上げます。」


警官は驚いたように顔をあげた。


「だけど、俺らが葬ったことについては謝りません。だって、それが使命だから――。」「それでもっ!」


警官は叫ぶ。



シュンタは警官を遮って言う。


「こいつはあなたより辛いんだ。」


敬語を止めた。


「止めて、シュンタ。」


私はシュンタを睨んだ。


「……。」



沈黙。



「もう行こう。シュンタ。いいよ。」


私は肩の力を抜いて言った。


「サヨナラお巡りさん。」


私達は魂が抜けた警官を置いて歩き出した。





1話ですー

疲れた…

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