表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
可愛い弟を溺愛しながら生きていく  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/62

60.顔の傷は目立つだろうか

 揺れが少ない馬車はウルティアからの迎えだ。事前に手配しておいてよかった、と胸を撫でおろした。送らせるのに、と不思議そうなセシリオには丁重に断った。ついでに次からの迎えも辞退する。王家の紋章が入った馬車は、一度で十分だった。


 今後、作戦で王家の庇護を受けているように見せるとしても、ほかの方法を使う。到着するまでに消耗しては、本番に備えられないからな。抱っこして運んだルカは、馬車に乗るなり丸まった。膝で小さな寝息を立てている。


 帰りの馬車内で、手鏡を覗き込んだ。化粧直し用に、貴族女性がよく持ち歩く小さな鏡だ。目の前に掲げて、にやりと笑ってみた。確かに悪い感じがするな。頬の傷のせいか? すりすりと指先で頬を撫でた。


 女性の顔には不釣り合いな、目立つ傷痕がある。後悔はしていないが、貴族女性としては致命的だった。どんなに美しいドレスを纏っても、顔の傷が見える。顔立ちがはっきりしているため、派手な化粧で覆ってきた。


 やはり見た人が気にするような傷は、覆い隠すべきだと思う。


「お兄様、気になる? 私は似合ってて好きだけど」


 そういえば化粧で隠したとき、ベスは「もったいない」と嘆いたな。母上はそういった美醜は無頓着だし、父上は「よくやった」と褒めた。だが外部の人がみれば、やはり見苦しいだろうか。


 ベスは先ほどの「鏡でも見たら?」の発言が、私を傷つけたと思ったのか。慰める言葉を探していた。表情の話であって、傷は別と分かっている。


「その傷ごと愛してくれる人がいればいいね」


 きゃう! 膝の上で大人しくしていたルカが、突然鳴いた。そのまま飛びついて顔を舐めようとする。笑いながら抱き上げて好きにさせ、鏡を横に置いた。


「ルカはそのままがいいってさ」


「そうだな。ルカと結婚しようか」


 きゃう! がうっ!! 大興奮で口の中を舐めまわそうとするルカを、ぐいと引き離した。


「お前はツノがあるんだから、注意しろ。刺さったら傷が増えるだろ」


 ツノが刺さったら、愛犬に噛まれたも同然だぞ。刺客の攻撃からアルバ国王を守って、騎士として負った名誉の傷に比べると情けないだろう。言い聞かせたが、ルカはまったく気にしない。左の眦の下から口角近くまで、一直線に残る赤い傷に夢中だった。


 ぺろぺろと舐めるルカを縦に抱き、ある程度好きにさせる。借りた鏡をベスに返し、そこから先は作戦会議となった。クルス公爵家主催の夜会で、どのような仕掛けがされるか。事前に対策するために、考えられる嫌がらせや妨害を挙げていく。


 ドレスを汚す、毒、醜聞、ケガ、何らかの濡れ衣……。事前に噂を流す方法もあった。だが、ベスの正体がわからないうちは、流される噂の質も低い。どこの馬の骨だか、の類だろうか。あとは身持ちが悪い、実は犯罪者だったなんて噂も可能か。


 指折り数えながら、ベスと打ち合わせた。対策も問題なさそうだ。ゆっくりと馬車が止まり、興奮が落ち着いたルカがすとんと座った。びしょ濡れの顔を拭ってから、ルカに頬ずりする。


 フリル付きピンクの洋服で飾ったルカは、へらりと舌を出して嬉しそうに「きゃう」と鳴いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ルかは人間の言葉わかってる? 一応霊獣なんだし そのうち人化したら、それはちょっと、てなるけど……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ