表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
可愛い弟を溺愛しながら生きていく  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/66

57.遠回しの情報交換

 ビビアン嬢は穏やかな印象の女性だった。落ち着いたと表現することも可能だ。年齢より 年上に見えるほど、余裕を感じた。


 この人が追い詰められる? 想像できないな。首を傾げた私に、ビビアン嬢はやや低い声で切り出した。


「観察は終わりまして?」


「見惚れておりました。申し訳ございません」


 不躾に見たことだけ謝る。ベスとの顔合わせを済ませ、用意されたお茶のカップに手をつけた。まず私が一口、頷くのを待ってベスへ手渡す。


「長子のアリス殿が毒見を?」


 フリアンの呟きに、どう答えたものか。確かに長女だが、長男であるシルベストレが嫡子だ。母上のように婿を取る選択肢もあるが、自らが当主となるカランデリア様のパターンも可能だった。ウルティアで、男女の差はさほど深い意味を持たない。


「ベスは私より大切だからな」


 妹であるから、とも取れる発言で逃げた。フリアンもセシリオも人間としては善良だ。だから知らないほうがいい。知ったためにうっかり口にして、我が一族を敵に回すことはないだろう。


「うちのお兄様も、このくらい頼りになれば……私もお役目を果たせましたのに」


 はっきりと「兄が不甲斐ない」と示したビビアン嬢に、くすっと笑った。目の前の王太子と公爵令息よりよほど、目の前の令嬢のほうが謀に向いている。さりげなく、自分が囮になった作戦の失敗要因を伝えているのだ。


 フリアンが何らかのミスをして、ビビアン嬢が追い落とされた。最初に聞いた話を鵜呑みにすると、痛い目を見るだろう。


「素敵な兄君ではありませんか」


 心にもない世辞で、彼女に感謝を伝えた。こういうやり取りに殺伐とした印象を持つ者は多いが、この程度、まだまだ序の口だ。


「さきほど、リベジェス伯爵夫人にお会いしました」


 情報を一つ提供する。お茶菓子を摘んだビビアン嬢の手が止まり、菓子を皿の上に置いた。だが口をつけない。


「そう……あの方は気まぐれなのよね」


 きちんと情報を広めるかわからない。私の懸念と同じ感想を抱くビビアン嬢に、少々興味が湧いた。


 きゃうっ! 膝の上のルカが、大きく伸びをする。顎を舐めようとしたので、やんわりと拒んだ。外ではダメだ。指でダメを伝える。スコーンなら問題ないかと、一つ手元の皿に寄せた。


 野生の動物だったのだから、クリームやジャムは与えない。霊獣がどこまで特別か不明だが、人間と同じ食生活は無理だろう。事実、厩舎で生肉を齧っていたと聞くし。


 プレーンのスコーンを割り……手を止めた。きらりと光るのは、針? なるほど、こういう嫌がらせが日常だったらしい。表立っての会話術なら心得ていそうなビビアン嬢が、振り回されるわけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
針を一本ずつ抜いて分別する小人。猫作者さんにはブラッシングして毛並みを整えます。小人は考えた。針の鎧出来ないかなと。
針!?怖! お兄様は役立たずw残念ですね。てか、真面目にヤバイ?この機会に悪い貴族を一掃出来ると今後住みやすくなりますね!
>伯爵夫人 気に入った、あるいは益になる話題しか流さないタイプかな >嫌がらせ 動き早いなぁオイ!(笑) そして側近の「お兄様」はやはり役立たず……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ