46.甘えるルカは我が子枠だ
一昨日からめまいと発熱で対応できませんでした。更新できずすみません。
乗馬レッスンは、厳しかった。主にベスとセシリオに対して。というのも、カランデリア様の注意が入り、母上もびしっと指導する。へとへとで戻ったベスに手を貸そうとしたら「婚約者殿の仕事でしょう?」と母上が微笑んだ。
怖いので手を引っ込める。びしっと姿勢を正したセシリオが、サポートに入った。さすがに王太子教育に含まれるのか、スマートだ。腰を支える手は優しく、けれど落とさないよう体を寄せる。密着具合が高いのが気に食わないが、父兄か婚約者しか許されない距離なら仕方ない。
「我が国の慣習に理解をいただいて有り難い」
セシリオは何の練習か見抜いたようで、笑顔で礼を告げた。そういうところが、余計な女性敵を増やす原因なのでは? と思う。あとでちくりと……いや、ぐさりと釘を刺してやろう。
きゃう! 足元に飛び出した白い毛玉に、私は驚いて一歩下がる。ルカか? 最近忙しくて夜しか相手をしてやれなかった。私の姿を見かけて、大喜びで走ってきたのだろう。今日もカランデリア様や母上が一緒でなければ、ルカを散歩に連れ出せたのだが。
「ルカ、いい子だ」
ルカに危ないぞと言いかけ、呑み込んで褒めた。我が子のように育てると誓った。ならば、叱る場面ではないだろう。私ならこの程度の危険は避けられるし、人前で叱られたらルカもしょげる。重大な危険が伴う状況でなければ、叱るのは周囲に人がいない時だ。
まあ、獣の躾と表現されたら、すぐ叱るべきなのだが。
「……白い、ケ・シー?」
きょとんとした私は振り返る。ベスを下ろしたセシリオは、ルカを見て固まっていた。やはり白い子は珍しいのかもしれない。逃げるルカに迫る同族は、ほぼ灰色だった。
「可愛いだろう!」
自慢げに抱き上げて見せてやったら、ゆらゆらと不安定な足取りで近づいてきた。そのまま膝をついて祈りを捧げる姿勢になる。
何をしているんだ? この王子様は……。
「ケ・シー、我らが土地を守護する獣よ。この地を統べる王家の一員として、敬意と感謝を」
……首を傾げる。ルカが「ケ・シー」と言う守護獣なのか? 仲間に追われていたぞ??
大きくかしいだ首の向こうで、ベスや母上も首を傾けていた。そうだよな、疑問に思うはずだ。というか、その「ケ・シー」という名称は初めて聞いたぞ。
「事情は中で聞いたらいかが? 私、喉が渇きましたの」
こういう時に流されない、自分をしっかり持った人がいると助かるな。普段は怖いが……。カランデリア様の一言で、全員屋敷に入ることになった。




