表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
可愛いものだけ溺愛して生きていきます  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/15

14.可愛げがなくて嫌な奴

「遊びにきていたんだね、声を掛けてくれたらよかったのに」


 人懐こい口調と笑顔で、彼は私を覗き込む。わざわざ顔を逸らして、嫌だと示しているのに懲りない奴だ。こういう無神経さが腹立たしかった。それ以外にも気に入らない部分がある。柔らかな赤茶の髪がさらりと揺れ、緑の瞳が細められた。顔はいいが、可愛げがない。


「……もう帰るところだ」


 距離を置く言い回しで、すっと背を向ける。左右の腕をシルベストレとグラシアナが掴む。慣れた様子でカンデラがアマンドと腕を組んだ。彼と彼女は従兄妹(いとこ)同士だ。私の背を守るように後ろに立った。


「ヒメノ! 明日そちらへ行くから」


「父に伝えておく」


 ミドルネームを呼ぶ男に、ちらりと首だけで振り返って返事をした。最低限の礼儀だから、会釈で挨拶を済ませる。預けた馬を受け取り、大急ぎでサンバドルの王都を離れた。街道へ出ると、詰めていた息を吐き出す。肩が大きく上下するほど動いた。


「お疲れ様、姉上」


「どこから嗅ぎつけるのかしらね」


「猟犬並みだろ」


 少女姿の弟が労い、呆れたとグラシアナがぼやく。アマンドも犬じゃあるまいしと苦々しい口調だった。全員にここまで嫌われる理由は、単純にあの男が図々しいからだ。


 セシリオ・グレンデスと過去に名乗ったが、恐らく偽名だろう。父を訪ねて何度か砦に顔を見せたことがある。サンバドル王国の貴族と推測できるが、私は彼が苦手だった。表情を作って仮面のように感情を見せない。貴族らしい振る舞いだが、嫌いなものは嫌いだ。


 途中の小川で休憩し、先ほど買ってきたパンをブリサに与えた。他の馬は匂いを嗅ぐが、あまり興味を示さない。モニカも水を飲んだら、草を食んでいた。嬉しそうに味わうブリサは、シルベストレの愛馬だ。白い馬なのだが、足元や背中に灰色の毛が残っている。鬣にもやや色の濃い灰色が入っていた。


「ここからは競争しようぜ!」


 アマンドの提案に、カンデラが乗る。


「いいわね。負けないわよ」


「俺に勝とうなんて、無理無理」


 ひらひらと手を振って煽るアマンドに、カンデラがムキになる。事前に煽って冷静さを失わせる作戦だろうが、途中で邪魔が入った。


「落ち着いて、カンデラ。作戦があるわ」


 グラシアナが手招きし、ひそひそと耳元で何か囁いた。機嫌悪く尖っていたカンデラの唇が引っ込み、最後には笑みを浮かべる。今日の勝負はどちらが勝つか、わからなくなってきたな。


「勝負には私達も加えてもらえるのかな?」


 くすくす笑いながら立候補すると、シルベストレもにっこりと笑った。その顔には自信が浮かんでいる。


「それこそ無理だろ。ベス様二人は除外!」


 アマンドが宣言する。参加は認めるが、順位には含まないらしい。私の名前ベアトリスの愛称は「ベス」になる。だがシルベストレが使っているため、両親は「アリス」と呼んでいた。さっとモニカに飛び乗り、わき腹に合図する。走る愛馬の上から叫んだ。


「早く来ないと置いていくぞ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
嫌いな奴が来た!何かあって好きになるかな?嫌いなまま撃退することになるかな?とりあえず今はホノボノ!楽しそうで何より!
怪しい奴め!!小人達は小人騎士団を呼びます。やはり本物の騎士団じゃないと護衛出来ません。猫作者さんをポニーに乗せました。小人騎士団が到着するのは一週間後です。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ