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最凶の人生~思考盗聴器と共に生き、本当に一度死んだ男~  作者: 時田総司(いぶさん)
6章 束の間の高校編

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40 骨が砕けようとも――、ただ、蹴り続けるしかなかった

 1日目、9:30――、

 時田は現代社会を選択し、試験を始める。音声送信や、思考盗聴器による妨害と、推薦入試の準備で時間が無く、ほぼ時間を割けなかった教科の割にはまあまあ解ける問題だった。が――、


『そんなヤツなんよ! カンニングする為に私達を呼んで……!』


 ナルの声は止まない。それに――、


『すごーい。解けてる』


“声”の人数は増えていた。


『よく分かるなー』

『へー』


 味方のつもりかもしれないが、試験の最中に褒められ(?)ても全然嬉しくない。結果が出てからにして欲しい。寧ろ、集中力を下げられて、邪魔だ。そう感じていた時田は、“声”に話し掛けてみた。


(ちょっと、黙ってくれよ、集中できない)


『はーい……』

『……』



『そういうヤツなんよ! それが腹立つ!!』



(……コイツだけは)


 沸点の高い方だった時田だが、遂に堪忍袋の緒が切れた。


(いいか? カンニングとか言ってるけど、俺はそんな事を望んでいないし、お前らにそんな事は出来ない! 今、お前らがやっている事は、俺への邪魔であって、俺が不利にしかならない。大学入試センターを敵に回す気か? 即刻、音声送信を止めろ!!)


 時田は心の中でそう叫んだ。


 しかし――、


『こういうヤツなんよ! それが腹立つ!!』


 ……。


 状況は好転しないまま、現代社会の試験は終わった。


 時田は実力の少しも出せないまま、休憩時間を迎えた。


(クソ!)


「あれが時田君かぁ、結構フツーの顔してるじゃん」


(!!! 何!?)


 すれ違う受験生の中で、確かに『時田君』と呼ばれるのを聞いた。


(まさか、学校裏サイトと、思考盗聴器の所為で他校の何割かの学校にも、俺の素性が知られている……!?)


 あの春、思考盗聴器を使用され始めてから、今日で半年以上経つ。これだけ時が経ったのだから、口コミや、学校裏サイト等で情報が拡散されてもおかしくない。県内の隅々、いや、もしかしたら日本中に自分の個人情報が漏洩しているかも知れない……!

 時田は事の重大さに気付き、愕然とした。


(なんて事だ……!)


 時田は今、センター試験を受けている場合じゃないかも知れない。しかし、成す術無く、只々命令を受けて動くロボットの様に試験を受けるしかなかった。しかも――、


『それが腹立つ!!』


 甲高いナルの叫び声を聞きながら――。


 センター試験一日目は散々な結果となった。時田は冷静ではいられなくなったため、遂に部屋の中で暴れ出してしまった。


「糞野郎!! センター試験まで邪魔しやがったな!? それに、他校の連中にまで思考盗聴器を拡散しやがって!!!!」


 時田は叫びながら、時田は女子寮側の壁を思い切り蹴った。


 ドン! ドン! ドン!


 鈍い音が廊下に響く。壁は厚く脚は痛かったが、今はそんな事を気にする事すら無かった。


「俺が! 何をしたって言うんだ!? お前のOA入試の邪魔をしたか!? 思考盗聴器で私生活を監視したか!? 何もしてないだろうが!!!!」


 骨にヒビでも入りそうなくらい、力強く壁を蹴った。すると、



「何をしているんだ!?」



 寮の舎監が騒音を聞いて時田の部屋に駆け付けた。

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