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最凶の人生~思考盗聴器と共に生き、本当に一度死んだ男~  作者: 時田総司(いぶさん)
6章 束の間の高校編

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36 逃走

 ある日、時田が寮に帰ると、いつものように隣の女子寮から監視されている感じがしていた。


(受験まで時間が無い。もう、こうなったら……!)


 時田はノート一冊を持って寮の近くの山へ走って行った。

 誰の声も届かない山の方へ――。


 グラウンドで練習をしている後輩達は、その様を目にし、絶句していた。


「時田さん、皆で監視されるのが嫌で……」

「ああ。遂におかしゅうなってしもうたな……」


 一見、気が狂ったかのように見えるこの行動だが、それは功を奏する。

 担任と、面接の練習ができないときは、決まってノートを持って山の中へと走って行った。それから、一人で面接の練習をした。ある程度質問を想定して、答えを言えるよう、少し暗記する感じでおこなっていった。どもることがあったので発声練習もしていた。練習は効果を発揮し、時田の話力(?)は向上していった。


 いつの間にか、受験の際の送金する時期に差し掛かっていた。担任の許可の下、授業中に隣り駅の銀行へお金を送りに行く事となる。時田は学校の最寄り駅で電車を待つ。



 ――電車が来た。時田はそれとなく電車に乗った。その瞬間だった――。


「あ、〇校の障害児」


「!」


 時田を見た、他校の女子高生が言った。障害児――、と。


(“何かを”再び使われ始めたのは春からだ。もう季節は秋――。まさか、あれから“何か”が流通している? でも映像までは、流石に読み取れないか……だとすると……!)



 学校裏サイト。



 時田の脳裏を過ったのは、その言葉だった。


 顔写真が流通している。


 もしかしたら、いいや、多分あの“何か”がきっかけだろう。受験している場合じゃない。


 でも……どうすれば……? 


 時田は危機感を感じながら、ただ、送金をする事しかできなかった。

 


 ――、


 帰りの電車の中、時田は決意を固めた。


(早くこの県から出ないと……! 絶対合格して、県外に逃げよう!)


 10月の受験日の前日まで、隣りのクラスからの“何か”を使った監視は続いた。それを、どうやって凌いできたのか? 答えは、中学の時と同じように振る舞った、である。“何か”を通じて面白く振る舞ったのだ。考えた言葉が読み取られるようだったので、授業中、言葉で遊んでみた。例えば、


(皆が使っている“それ”は最悪だ、国語の勉強にもなりはしねぇ。ひらがな表示かカタカナ表示か品

川庄司か知らねぇが、漢字表示じゃあ無い事は確かだ。つまりは読解力が必要なこってぇ)


 と、言葉を思い浮かべて、遊んでみた。授業中だが、そうでもしないとナルが怒鳴り散らしてくる。

 そして、イライラや怒り、ストレスは伝染する。すると、隣りのクラスは崩壊気味になって時田は委縮してしまう。勉強にとって一番の敵はストレスだと、夜神ライトも言っていた。なので時田は、先ほど言った暴動を避け、ストレスを無くすことから始めた。面白く振る舞おうとしていた初日、ナルのこういう声が聞こえてきた。


「何か面白いし、元気そうだからこのまま続けても良くね?」


(! ! !! !?


……いい気なもんだな、アイツは。無理やり空元気を出しているのに気づいてくれよ……。おっとこの言葉も、読み取られたらキレられる)


 当初の目的は何だったのか? 腰が痛くて変な歩き方をしていたら、頭の中を読み取ってやろうなんてことになっていた。医者でもない高校生が、しかも言葉だけで、時田の容態が分かるわけ無いだろうに――。


 県外へ出るまで――


 テンションを上げ続けて、

 この地獄を凌ぐしかないのか。

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