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最凶の人生~思考盗聴器と共に生き、本当に一度死んだ男~  作者: 時田総司(いぶさん)
6章 束の間の高校編

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30 それは雪崩のように生活を崩れ去っていく

(! …………M死ね)


 咄嗟に時田の頭に浮かんだのは、中学二年のあの頃、よく使っていた、『M死ね』という一言だった。


『M死ね』

「何コレ……? キモ」


 何のコトか分からない同級生は、字面の異様さを気持ち悪がっていた。


「こんな奴なんよ! こんな奴よ! 他のクラスにも教えてやろうよ!!」

『こんな奴なんよ! こんな奴よ! 他のクラスにも教えてやろうよ!!』


 ナルが意味不明にも怒鳴り散らかし始めた。


「なんかナルが言ってる言葉も映ってない?」

「時田が聞いた言葉も映るみたいだな」


(映る? 聞いた言葉も……? 新しい情報だ。おっと、今そんな事を冷静に考えている場合じゃないか……)


 時田はこれから起こるであろう最悪の事態を想定し始めた。


(どうやらナルは学校中に“何か”を認知させる気だ。ちょっと待て、田舎の全校生徒100人居ない中学校内の話ではなくなる……。一学年180人、中高合わせると1000人を超える中高一貫のマンモス校で、そんな“何か”を使うなんて……。学校中がパニックになるぞ!)


 時田は“何か”越しに助けを求めた。


(止めて……)

「『止めて……』だってさ」


「こういうヤツなんよ!」


 相変わらず、ナルは何かに向かって怒り散らしている。


『痛みを……知る為』だったのだろうか? ナルの口実は……。今は完全に時田を攻撃する為に“何か”を使っている。


(あんな歩き方、するんじゃなかった……)


時田はナルが“何か”を使う口実を作ってしまった事を酷く後悔した。こんなことになってしまうとは……。


この日から時田は、半永久的に“何か”を使われる事となるのであった。



 ――、


(また――だ)


 学校中で自分の噂話が聞こえてくる。


「アイツの頭、どーなっとるん?」

「ヤバそうじゃね?」


 時田は一日で腫れ物扱いされるようになった。


(また、信頼関係を……友達を……無くす……)


 時田はその事態を酷く恐れていた。中学までのただ、何となくの関係――。そんなモノ、そんな信頼関係、すぐに壊れて当たり前だった。

 けど、今は……。

 人として、対等に扱ってもらえる関係、共に、切磋琢磨し合った部活仲間達、時田の人間生活というリアル――。それが、“何か”によって粉々にされていく……。何よりも大切で、何よりも失いたくないモノ。それを今、失いかけている。


(あの時は攻撃したけど……今の友人は傷つけたくない……!)


 時田は中学の時と違い、“何か”を使う友人達を攻撃したりはしなかった。



 只々、耐える。



 授業中では隣や上の階のクラスから、そして部活後は隣にある女子寮からの監視が続いた。



 ナルが“何か”を学校に持ち込んだのは、3年1学期の中間試験期間――、5月のことだった。時間ができたから、実家に帰って中学校時代の記憶を頼りに保護者に頼んで、貸してもらった?


(試験期間は勉強しろよ……)


 時田は、ナルという虐めっ子の虐め体質が巻き起こすトラブルメーカーっぷりを酷く毛嫌いした。そうまでして、虐めがしたいのか……? 人の所業ではないナルの言動に、呆れてものが言えなかった。


そんな、最悪な精神状態で、臨んだ中間試験では――、


化学19点


これには周囲がそっとしておかなかった。


「お前、どしたんな? 大丈夫か?」


Kも自分より点数が低い時田の頭を心配した。


(頭、ね――。頭の中を見る機械……? それとも、俺の頭がおかしいから、周りに観られている……?)


時田は、何が現実で何が違うのか、もう分からなくなっていた。

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