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最凶の人生~思考盗聴器と共に生き、本当に一度死んだ男~  作者: 時田総司(いぶさん)
6章 束の間の高校編

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24 命を繋ぎとめた修学旅行1

 スイングの虫、時田の挑戦は、2ヶ月と10日で、32,933本振ったところで、腹を押さえ崩れ落ちるという形で幕を下ろした。



「時田。グアムの修学旅行、お前行けれんらしいぞ」



「え?」


 忠司の発言が時田の虚を突く。


「何……で?」


 高校2年秋の修学旅行は、秋季大会を勝ち進んだ為、時田達は行けなくなった。代わりに野球部の2年生は、グアムに旅行に行くコトが噂されていたのだが――、


「お前、腹壊したから、感染症のリスク考えて! うつったらいけんじゃろ?」


「あ……(ハハ。女にフラれ、身体も壊し、目標も達成できず、高校生の思い出も作れないとは……)そ。教えてくれて、ありがとな」


 忠司の発言は、時田に痛恨の一撃となる追い打ちとなった。そよ風でも吹けば、時田の身体は吹き飛びそうなほど弱々しく、フラフラと時田は歩いてその場を去った。



――、


 時田は、その日の昼休みに仲の良い石井に弱音を吐くようにその件について愚痴をこぼした。


「石井ぃー。俺、胃とか壊したから修学旅行行けれんってさ」

「はぁ、何で? そんなコトなかろ」

「忠司が言ってたんだよ。感染症対策だって……」

「ウソウソ、そんなことない。騙されとるで?」


「――!!(ハ――! 忠司のヤロウ!! 言わんでええコト言いやがってぇ!!)」


 その後、野球部の顧問や旅行の責任者に問うてみたところ、時田が朱額旅行に行けれないというのは、忠司のでっちあげというコトが分かった。



 数週間後――、


「海外初じゃわぁー」

「俺、飛行機すら初めて」


 時田達は事前に用意したパスポートと共に空港に居た。


『国際線は……』


 空港内では、何処に居ても聴きとれるくらいのアナウンスが流れ、ここに居る人々はこれから空を飛ぶという実感が沸いてきそうなものだったが――、


(野球部の修学旅行には来れたけど、俺の心はまだ閉ざされたままさ……グアムで買う予定だった、Nさんへのお土産も、その必要がなくなってしまった……待てよ?)


 ふてくされていた時田、ここで思い出したかのようにノブコフに話し掛ける。


「ノブコフ! この旅行でまさか――」


「あー、彼女にお土産買うよー」


「……あー、お幸せにぃー(ケッ!!)」



 ――、


『……の際にはシートベルトをお付けください』


「広いぞー!」

「飯出るのかー?」


 離陸前の飛行機内――、高校生達にとって、空の旅は不思議な高揚感があったようだ。



 ――、


 飛行機が離陸のため、動き出した。ゴ――と轟音を鳴らしながら機体は滑走していく。


「うるさっ」

「Gがぁぁああ! Gがぁぁああ!!」

「うお――! この力感んン!!」


 周りの同級生達が騒いでいる中、時田は思いを巡らせていた。


(飛行機は、人生2度目だけど……やっぱり気持ち悪い感じだ……)


 機体が離陸した。


「飛んだぁー!?」

「街が小さくなってゆくぅー」

「雲より高いぜ」


(こんなにはしゃいじゃって……)


 余りに活気にあふれていたので、時田も段々気分が上振れてきた。



 ――、


 3時間半のフライトが終わりに近づく頃、空の旅あるある、『景色が同じで飽きてきた』一同だったが――、


「うおっ! 島が見えてきた」

「やっと到着かぁ」


 ここに来てテンションを上げ直した。



「ガタガタッ」



『!?』


 機体に、不穏な揺れが響く。


『××× ×× ×××』


 機内には、英語でアナウンスが――、

 どうしたものかと、首を傾げている時田だったが、たまたま隣に居た石井が、彼に話し掛けてきた。


「俺、このアナウンス翻訳できるで」

「マジ!?」

「まじ。うーん、そうじゃな……


『この機体は墜落します。ゴメン、もう無理』」


「絶対ぇウソ(笑)」

「マジマジ。俺ら死ぬで。どうする、時田?」

「うーん、一緒に死のうや」

「じゃな! 一緒に死ぬか!」


 20分もしないうちに機体は空港に降り立ったが、あの時上昇気流が急に発生して、機体はマジで危なかったという話があったとか。


 初海外旅行の、時田の運命は!?

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