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最凶の人生~思考盗聴器と共に生き、本当に一度死んだ男~  作者: 時田総司(いぶさん)
6章 束の間の高校編

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20 初メル友と初告白

 野球部の練習には勿論、力を入れ、練習後もレギュラーメンバーのストレッチの相手やマッサージ等をおこない、忙しく動いていた時田だったが――、


「Nさぁーん(ハート)!!」


 夜――、特にNさんの塾が終わる頃の22時台はメールの送受信で心はいっぱいだった。



「グググっ」



『好意レベル―5.もう告白しよう』



「時田。俺ら修学旅行、野球部だけでグアム行くらしいぜ?」




「ぐぁぁむ!?」




 学生寮のある夜――、

 ノブコフが突然、有力情報を持ち掛けてきた。


「そこには、恋人岬ってデートスポットもあるみたい。俺、そこの関連のお土産あれば買おっかな? そんで、今のメル友と付き合えたら、プレゼントするんだ」


「ノブコフ!? お前もメル友居るの!? 誰!!?」


 時田は目を丸くし、口をとがらせて叫んだ。


「Yさん。ほら、前にお前に『おはよ』ってアイサツした娘。取んなよ?」


「取んない! 俺は別の人とメールしてる!!」


「そうかそうか。よーし、決めた! 俺はクリスマスに告るぞ!!」


「俺もそうしようか」


「告るんなら、俺は直接言うな」


「そうじゃな。せめて電話で、自分の声で告るよな」


「そう……じゃな」



 そして数日経ち――、


『今日もお疲れ様☀☀

定期試験、近いねー。

今回の範囲、難しくない(顔)?』


「送信っと……フフッ」


 時田は満面の笑みで、返信を待っていたが――、




「何で……?」




 いつもなら、5分ほどで返ってきたメールも、20分、30分と経っても一向にガラケーはうんともすんとも言わない。


「ピロリロリン♪」


「来たぁ――!!」


 早押しクイズ並みの反応で携帯を手にした時田は、その勢いで画面を確認する。


『今、契約で2,000ポイントゲット!』



「キャリアメール!!!!」



 時田はベッドにその機械を叩きつけた。


「ピロリロリン♪」


「今度こそっ! Nさんからだっ!『ゴメン。塾、長引いた』とか? 『寝落ちしてて気付かなかった』とか!!?」



『うん。』



「――!!」


 冬練を乗り越えたはずの屈強な身体を持つ時田は、膝から崩れ落ちた。


(何で……!? いつもは10分近く経ったら5行とか返ってきてたのに……、あの夜は夢を語り合って……、嫌われた……? メール見返したけどそんな素振りは……!? あっ)


恐れていたことが、起きてしまった。



(回想)


 中学卒業の日――、これで最低なクラスとおさらばできる。そう、時田は喜びに満ちていた。ただ一つ、不安だったのは――、




 ナル。




 アイツと同じ高校に通うのが決まってしまった事だ。


 一番陰口を言い続け、誰かを虐めていなければ気が済まない性格のアイツだ。何か高校でも僕をイジメてくるのではないだろうか……? この時田の不安は――


(回想終了)



 およそ2年と半年後、見事、不安は的中した!!




「ナ! ルぅ――!!!!」

 



 時田は頭をくしゃくしゃにしながら悶絶していた。


(アイツのコトだ……。俺の悪い噂を、あることない事全部話して、評価をガク下がりさせたに違いない!! 何か教室で、誰のコトかは分からんけど、『あんなヤツだよー?』って誰かを卑下していた日もあった……! 俺のコトだったのかぁ――!?)


『今日は、疲れてる?

ゴメンね。こんな日にメール送って(顔)

また明日、授業がんばろーね☀☀

お休み!』


「ふぅ……」


 時田は送信ボタンを押すと同時に、力なくベッドにボフッと身体を預けた。


「……決めた」


 虚ろな目に、禍々しい炎を宿して時田は上半身だけを上げた。


(これ以上関係が悪くなる前に、告白しよう!! 俺は! 12月〇日に、人生初告白をする!!!!)


 ――、時田は12月〇日を迎えた。


「『ちょっと用事があるから、今から電話、大丈夫?』と」


 時田は、部員の誰にも知られず、暗闇の部室の中に侵入し、一人メールを送っている様だ。


「『いいよ』よし!」




「プルルルル、プルルルル、ガチャ」




「もしもし?」


「もしもし」


「用事っていうのは……ゴクリ」


「?」


「ずっと、好きでした!」



 言い切った。シンプルで、まっすぐで、初めての言葉を――



「! ……」


「……?」


「……」



 風の音だけが、部室の外から聞こえていた。


「(文脈、めちゃくちゃだったかー?)あの? へ、返事は?」


「……ゴメン。友達としか思っていないから……」


「!……分かった。聞いてくれて、ありがとう」




「ブツン、ツー、ツー、ツー」




「……ふー」


 時田は、夜空を見上げてみた。


(フラれたけど、人生で初めて告白したぞー!)


 彼は、結果はともかく、自分の気持ちを伝えられたコトに、感激していたらしい。


 しかし――、


「おはよう」


「! お、おはよう……」


 フラれた相手が、同じクラスに居たため、時田は重苦しい気持ちを数カ月味わうことになる。



 ――、


 失意のどん底に居た時田は、kに愚痴をこぼしていた。


「kぇー、絶対ぇナルが何か言ってたわぁ」

「言っとらんわ。おみゃーのことは『一緒の中学出身だと思われたくない』言うとったわ。それだけ嫌いなら話題にも上がらんわ」

「そうかなぁー?(そんな嫌われ方なら、素直に悪口言ってたのでは……?)」



――、

ノブコフとは、戦果報告を互いにする日が来た。


「ノブコフぅー、どうだった?」


「OKだったぜ、時田! そっちは?」


「フラれた」


「そうか……」


「電話で、自分の声で告白できたのが満足だな。今気まずいけど……。ノブコフは学校のどっかで直接言えたんか?」


「ハハッそれが……」


「?」


「ビビッてメールにした」


「!?(このヤロウ!!)」


 告白は、直接や電話じゃなくても成功するコトも多い。




 ただしイケメンに限る。

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