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最凶の人生~思考盗聴器と共に生き、本当に一度死んだ男~  作者: 時田総司(いぶさん)
6章 束の間の高校編

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17 日常に潜む、罠と発見と呪いと恋と――。

 時田総司2年目の夏練、早々にノックアウト――。

 それからというもの、1個下の1年が夏の猛暑の中、外野手ノックに走り続けるのを雨天練習場で見届けるコトとなる。


(情けねぇ……)


 不甲斐無さを噛みしめていると、田尾がひょこひょこと時田の元へやって来た。


「外された」

「お前もか……」


 ここまで書き記した様に、人の死にまつわる冠婚葬祭にてふざける、また呪いをかけて遺影の前で時田に無作法をおこなわせようとする等、人格を疑う様な外道の田尾だ。そんなヤツだったが、時田が気まぐれで声を掛けた際に更に呪いを掛けて、印象操作をおこなったのだ。



(回想)


「田尾、何で他人ん家(ひとんち)の葬式で『横チン』なんて言ってふざけたん?」


「……ああいう雰囲気が苦手だったんだ」


 ここで、通常なら、『じゃあ黙っとけよ』と返すのが道理だったが、呪いの為、時田はこう返した。


「そうか、そういうコトだったんか」


 それからキャッチボールの相手をする機会も増え、話すコトも多くなっていた。


(回想終了)



「俺らって一体……」


「仕方ねーじゃん、時田」


「……」


 更に田尾は時田に負け犬根性を叩き込む。


 全身全霊を持て時田を呪い尽くす。

 強迫観念に囚われたかの様に田尾は後に時田を攻撃し尽くすのだが、高校時代はその凶暴性はまだ影を潜めていた。ぬるま湯につかった夏練は、不本意を言い訳で埋める様にあやふやな状態で終わっていった。


 さて、新チームの始動。最高学年となった時田は、先輩達から裏方仕事を任されるコトは無くなり、心と時間に余裕を持っていた。

 ある日、学校へ登校していると、下駄箱でスリッパに履き替える際、女子生徒に声を掛けられた。


「おはよ」


「……おはよう」


 女子生徒はそれ以上何も言わず、廊下へと歩いていった。時田は、慣れない事態に胸の高揚感を覚え、ルンルン気分で教室に向かった。

 休憩時間、朝のコトを滝本に話した。


「何じゃ時田。その子のコト好きなんか?」

「?」


 ふと、クラスの女子の数名の顔が思い浮かんだ。その中で1人だけ、幾つかの場面が鮮明に映し出される子が――、



(回想)


『県大会優勝――、○○さんです』


 拍手が体育館に木霊する。時田はその柔道女子を斜に構えて眺めていた。


(ふーん、スポーツ女子か。運動が得意ってだけじゃあ……ねぇ)


 定期試験後の教室にて――、


『○○さん、92点!』


(なっ!? あの人、運動だけじゃなく、勉強も!? 正に文武両道で心身の研鑚に満ちている……? こんな子が、現代に居たなんて……)


(回想終了)



「いや、滝本。俺、Nさんが好きかも知れん」


「はぁ!? 挨拶したのNさんじゃないで!」


「うん」


「お前、変わっとる」



 ――、


 そんな日常を過ごしているうちに、大会も始まり、順調に進んでいき――、


「次勝てば、地方大会じゃな」


「おっしゃ! 勝つぞー!!」


 時田が高校野球人生で初めて、この部で地方大会出場する、その現実味が帯びてきた。と、同時に――、


(頼むから勝ってくれー! アイツが……アイツがぁ……)


 切実な事情を抱える時田が居た。

 それは数週間前に遡る――、



(回想)


「修学旅行の班はこう決まりましたー」


 担任立井が、時田のクラスの班決めを終えた。秋の修学旅行でも、その班のメンバーで行動することが多くなる。


(……ヤツが居る!!)


 時田に好意を寄せていると噂されている女子(決して容姿は整っているとは言えない)が班長になり、班決めの際にドラフト1位で時田を班に入れていたのだ!!


「センセー! 自分の班、男子が2人しかいません。あっちの班は、男子4人います」


 時田は吠えた。もう一度班決めをやり直す為に――。


「えぇー、そんな訳が……! あっ、ホントだー。まっ、良いじゃん」


「!!(このヤロウ……!)」


 担任立井に対するヘイトがどんどん溜まっていった。


(思えば、4月の『雑巾持って来い』って時にも、父さんが既製品を買ってきてそれを渡せって言われたからそうしたら自分で縫えって言われて居残りさせられた!!(父・シゲミが悪い))



「おい、時田」



「?」


 同じ班のサッカー部が話し掛けてきた。


「俺、お前の事、キライだから」


「!!……ふーん」


 絶対にこんな班で修学旅行に行っても最悪な想い出しか作れないと決め込む時田だった。


(回想終了)



「滝本ぉー、ちょっと……」

「何?」

「俺、勿論勝って次の大会行きたいってのが、メインの気持ちなんじゃけど……」

「どうした?」

「サブっていうか、ついでのコトで……」


 時田は、修学旅行に対しての憂いを話し尽くした。


「分かった。勝ったら大会やるけぇ、修学旅行いかんで良くなるな。勝ってやる。勝とうな!」


「うん! ありがとう!!」


2人はアツい握手をガシッと交わしていた。

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