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最凶の人生~思考盗聴器と共に生き、本当に一度死んだ男~  作者: 時田総司(いぶさん)
6章 束の間の高校編

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16 流行り病は、全てを奪い去る。あの冬培った体力、精神力、成果も、非情に――

「ゴホッ! ガッ! ゲホッ!!」


 時田は苦しみの中に居た。


(肺が……痛ぇ……!! 何故、こうなった……?)



 2週間前――、


(回想)


(夏練が、今年もある……!)


 時田は学生寮自室にあるカレンダーを注視していた。

 6月の終わり――、気を抜いていると、背番号をレギュラーメンバーがもらう日が、すぐ来てしまう。


(夏の大会がどこまでいけるかは、誰にも分からない。いつか終わって、直ぐに夏練が始まる。今年の俺は、冬練で体力もつけているから、外野のノックも大分食らいつけるはず……! そうだ!!)


 時田の脳裏に、とある映像が再生された。渡利さんが夏場なのにグラウンドコートを着て身体中から大粒の汗をグラウンドの土に落としがら、ポール間を黙々と走っている。初夏の太陽が、それはそれはより一層眩しく、燃えている様だった。


(これだ!! 俺も暑さ対策で、グラウンドコートを着て、ダッシュやポール間走をやりまくるぞ!!)


 時田の両眼が燃えていた。


 24時間もしないうちに――、


「ハッ……! ハッ……!」


 時田は計画を実行に移した。



「おーい、時田ぁ。お前何やってんだ?」


 鬼コーチが時田に声を掛けた。


「暑さ対策です!」


 時田は低く通る声で答えた。


「ふーん、夏も近いしなぁ」


「はい!」


順調に夏用の身体を作り上げていこうとした、矢先――、


「ゴホッ! ゴホッ!!」


 学生寮で謎の病が発生した!


「お前、大丈夫か?」

「はっ……! ゴホ! はい……! ゴホッ!!」


 時田の1個下のキャッチャーが、1分間に40回くらい咳込んでいた。


(これは何か危うい……)


 気を張っていた時田だったが……。


「ゴホッ! ガッ! ゲホッ!!」


 見事、病に感染した!!


(回想終了)



「肺が……ゴホッ! 切り刻まれた様に……ゴホッ! 痛ぇ!!」


「ゴホッ! ガッ!」


「!(アレは……K!?)」


 Kも時田と同じく疫病にかかっていた。


「時田ぁ、肺が痛ちゃぁ」

「ああ、息を吸い込むと痛い……」

「吐いても痛ちゃぁ」

「ゴホッ……とりあえず座ろうぜ?」

「座っても痛ちゃぁわ。立っとっても座っても痛ちゃぁわ」

「俺ら、終わったな……」


 2年時学生寮で、Kは中野さんと部屋が同じだった。中野さんも疫病に感染し、病院で診察を受けたと聞いたので、時田も痛みが出てから1週間後、病院に行った。時田は、小児喘息を患った時に診てもらった病院での診察だった。


「マイコプラズマ肺炎です」



「!?」



「でももう、治りかけだね。しんどかったろ? 白血球の数が多くなってるね」



(苦しみ抜いて、自力で治した――!?)



「その、キミの高校の学生寮で、流行ってるみたいだね。あの……中野君という先輩がおるだろ?」


「はい……」


「あの人くらい強くなれ、キミも――」


「はい(何か会話したのか? 物おじしない様子が想像できる……)」


「先生、レントゲンの結果が出ました……!! この黒い影は!?」


(えぇぇぇぇ!? 俺ガンになって死ぬの!?)


 看護婦さんの衝撃発言で、時田は青ざめる。


「バカヤロウ。これは心臓だ。よく鍛えている……キミはもう既に強いのかも知れないね」「あ……はい」


 冬練の効果は確かにあった。レントゲン写真がそれを物語っていた。


 しかし――、夏練2日目――


 マイコプラズマ肺炎によって衰弱し切った身体は悲鳴を上げ、時田は外野手ノックを受けている最中に痙攣を起こしてその練習から外された。

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