1 「…タバコの火ィ…!!! 欲しかった…トコだ………!!!」 からの「それと……何だ?」と問われて「ああ、吠え面かき…やがれ」って言えるサンジ君はカッコイイ
始まりの魂『やきう』は、自らの歩みのみで地中海から旅立ち、遂には日本に辿り着いた。その目的、初代神『フサヨ』を倒し、この世界に平穏と安寧をもたらす為――。
やきうはフサヨの居場所を逸早く察知していた。生まれてからまだ間もなく、霊感や霊力も備わっていた為である。直ぐに彼は神に接触することとなった。
(……! 居た!)
やきうはフサヨの全身と霊力をその両眼で捉えた。直後彼は足早に彼女に接近する。二人の距離は数m、そこで彼は口を開き、全力の宣戦布告をした。
「やい! フサヨ!!」
「!?」
「お前は神失格だ! 自分の欲望と快楽に任せて、自分の我儘で他者を傷付けた!! 殺戮と破壊の火種を生んだ……この罪は重い!! ここでお前を殺す!! 神殺しじゃ……」
そこにはフサヨの家族と数名の通行人が居た。その数名は驚きと戸惑いと共にざわつき始めた。
「赤ん坊が……!?」
「ああ、赤ん坊がしゃべってる……」
「素っ裸だ……」
そう、始まりの魂『やきう』は、ただのしゃべる素っ裸の赤ん坊だったのだ。
「覚悟……!」
それでもやきうは怯まず、フサヨに向かって特攻していき……、
ぐるぐるパンチを仕掛けていった!!!!
「やー!!」
「……」
身長差があり過ぎる。フサヨはそれを、彼の頭を右手で押さえる形で防いだ。
右手で押さえられ、前に進めない素っ裸の赤ん坊、やきう。それでも彼は両腕をぐるぐると回し続けた。
「やー!!」
「……」
「やー!!」
「……89番?」
「!」
遂に口を開くフサヨ。何を話し出す……?
「アナタには失望させられたわ。実に滑稽よ。何が『神を殺す』? 私は神よ。アナタを殺します」
フサヨの霊的攻撃力8000の力で、彼女の左手に、穂先が黒く光る槍が発現した。柄の部分を強く握りしめる。そして――、その穂先が閃き、一瞬ののち、鈍い抵抗とともに赤子の肉を割った。 彼の心臓は貫かれ、その赤黒い空洞からは真っ赤な水滴が滴り落ちている。未だ微かにドクンドクンと鼓動を刻むその心臓から、生温い感触が伝わる。
「やっぱ……な……」
「? 何、89番?」
「(赤ん坊じゃあ、無理だった……か)……おめぇのコトぁでぇきれぇだって、再認識したんだ……よー。べー」
やきうは回していた両腕を止め、右の方だけスッと顔面付近に寄せ、あっかんべぇを作った。最期の悪足掻きとして、最期の捨て台詞を吐く為に――。
「そう……?」
フサヨは槍を心臓から抜いた。ブシュッと鮮やかで黒い赤が吹き出した。
「サヨウナラ……」
ザシュっ……。やきうのあっかんべぇは黒く光る槍に貫かれた。
頭部と右手は原形を留めていない。しかし聴覚が生きていた、5秒間。彼はその言葉を聞き取っていた。
「面白い事を思い付いたわ!」




