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最凶の人生~思考盗聴器と共に生き、本当に一度死んだ男~  作者: 時田総司(いぶさん)
5章 絶望の中学編

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42/90

18 やだよ、おれは大きくて柔らかいおぱーいの方が良い

 2年3学期の学年末試験期間中――、


 時田は映画館に居た。


『フロドさまぁ!』

『サム!!』


(何やってんだろう、俺。勉強しないといけないのに……)


 時田はこの時期、高校2年生の姉・かの子の誘いで、映画を見に行ってしまったのだ。


(いけない……いけない……。……。おお!)


 最初は気が気でなかったが、時田はフィルムが巻かれるにつれ、映画の内容にのめり込んでいった。

 

 そして試験前日、夜――、


(全然勉強時間足りなかった……。まっ、いっか☆)


 準備が十分だったとは、全く思わない。しかし、1年生の時の切迫感が、時田には無かった。プレッシャーが無く、肩に力が入っていない。それが、良い意味で――なのか、悪い意味で――なのかは、その時その真意を読み取れていなかった、時田だった。



 ――、


「試験結果を配るぞー」


 答案が返ってきた。



「! は?」


 時田は数ヶ月ぶりに平均90点以上を取っていた。後日、担任との面談の機会があった。


「時田、お前今回の試験期間中、何かしたか?」


「……。映画いきました」


「ふっ。まぁ、それくらいでええって事じゃ」


「はい」


 1年生の時、最初の試験期間は、1時間半、勉強して15分休憩、また1時間半、勉強して15分休憩を入れるの繰り返しだった。好きだったゲームは試験期間中、一切しなかった。テレビもニュース以外見ない様にしていた。漫画だけ、読んでいいコトにした。それで90点以上、取っていたのも事実だけれど……。


(これで、良かったのか……)


 肩の荷が、スッと下りた、そんな言葉が人生で一番しっくりくる。そう感じた時田だった。


 3年生になって――。

 時田は何とかして『目立たない様に』を心がける様にしていた。“出る杭は打たれる”それを2年の夏から秋にかけてこれでもかという程思い知らされた時田だったからだ。あれだけ力を入れていた勉強も、さほど本気にならないでいた。


 そんな1年間で、深く思い出に残った日があった。

 それは課外授業の日――。少子化で昨年までは1学年単位で行っていたものが、3年生のこの年だけ全校生徒合同で行くコトとなった。


「海ダぁ――!!」

「キャッキャッ」


 中学生らしく、海水浴にはしゃぐ生徒達だったが、神妙な面持ちで砂浜に座り込む者が1名――。


「マホちゃん、セクシー……」


 カツヒコだった。中学生らしからぬ巨乳を携えた生徒が、この学校にも居た。


 マホちゃん……時田の1個下で、この時2年。田舎の中学性にあるまじきその胸は、Eカップ以上は既にあった。


「他の生徒の大概がキャミソール型の水着に対し、彼女だけ派手な黄色のセパレート。胸元のジッパーが、開けてくださいと僕に催促している……。恐らく、サイズが合わなかったのであろう。やむなく、大人と同じデザインのモノを着るコトになったと推測される……ムフ」


「何言ってんだ、カツヒコ?」

「いこーぜ」


 双眼鏡を装備していたカツヒコは、周囲の男子から白い目で見られていた。

 しかし――、


「うお……」

「わっ!」

「な!?」


 誰もがマホちゃんの巨乳に目を奪われた。時田とて、例外ではなく――、


(あ……。揺れ……)


 一部が膨張してしまいそうだった。


「おい、あいつスゲーぞ」

「はい、時田先輩……」


 後輩野球部を連れて、海上滑り台の上から観察していた。


「……やべ、〇ってきた」


 時田はそう言い放つと――、



「ザッブーン!!」



 海へダイブ! 

 膨張した一部をクール・ダウン!!


「あっはははは!」

「時田さぁーんww」


 マホちゃんの胸に視線を釘付けにされた時田は、その言動で後輩たちのハートを鷲掴みにした。

 

 後輩のうちの、苗木が目を充血させていた。

 マホちゃんが海上滑り台の上に行くと、階段の下からマホちゃんの巨乳をガン見(下乳を見る為?)。そしてマホちゃんが海上滑り台の下を歩いていると、階段の上からマホちゃんの巨乳をガン見(谷間を見る為?)。

 堪らず、時田は――、


「お前、それは見過ぎ」


 苗木の頭を引っ叩きながら言い放った。これが、時田人生初の、ツッコミを入れた瞬間だった。

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