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最凶の人生  作者: 時田総司(いぶさん)
5章 絶望の中学編

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13 裸一貫!! 筋肉は裏切らない!!!!

 入院中も風呂に入れるのが、精神病棟の特徴だ。大浴場があって、男女順番に入れる。


 と、ここで避けては通れない重大な問題が発生する。

 時田の他の入院患者は、大体50代以上のおっさん達ばかりだ。それに対して、時田は中学二年生。思春期真っただ中だ。そんな時田が、裸を見られる……。知らない人に――、

 しかもスタッフに異性も居る。時田はなるべく看護婦さん達に見られない様に、あそこを隠しながら大浴場入って行った。


 心を丸裸にされる次は、身体を丸裸にされるとは――。何という人生だろうか……。時田は自分の不運さを、改めて思い知る事となった。


(やっぱり、ここに居るべきではない)


 そういう妙に澄んだ、一つの想いが胸の中に生まれた。


 入浴するにも緊張感を持たなければならない時田は、それを決して満喫することなく終え、自室へ帰るのだった。


 暫くし、自室でのんびりしていた時、看護婦さんから呼びがかかった。


「時田君、ちょっと」


「?」


「女性でね、丁度同じくらいの年齢の娘がいるの。会ってみない?」


「……いいえ、いいです」


「そう……分かったわ」


 時田は誘いを断った。



 人生を振り返った時、あの時こうしていればと、自分の選択を後悔する日が往々にしてある。



 時田が、この時誘いに乗っていたらどうなっていたのだろう。


 異性との関係で、もっと積極的になっていただろうか? 

 異性だろうが、助けを求めていただろうか? 


 この日から数年後、時田は異性に対して消極的でいて、異性には決して助けを求めないという選択肢を持つようになっていた。そのお話は後の機会に。


 一応入った情報によると、その女性は1,2歳年上で、最近入院してきたという。時田と近い年齢でも、入院するコトってあるんだなぁ。横になってそう思いながら、時田は天井を見上げるのだった。



――、



「じゃあ、3日後に退院という事で」



 退院日が決まった。それは入院して1週間くらい経った、診察の日の時の事だった。


「退院に関して、不安はありませんか?」

「はい、ありません」


 むしろ入院が長引く方が、今は不安になっている。


「ではお元気で」

「ありがとうございました」


 診察は拍子抜けするほどあっさり終わった。


 時田はfather1+2もほぼクリアして、暇を持て余す状態になっていた。早く退院、早く退院と、気持ちは先走っていた。しかし、退院に関して不安が無いと、主治医の先生には言ったが、やはりあの“何か”の存在は気にせずには居られなかった。


(退院後も、学校でアレを使われたらどうしよう……)


 不安が過る。しかし、こんなところにいつまでも居るようじゃあいけない。学校の勉強も遅れをとっているし、部活動の大会も迫っている。


(3日後か……長いな……よし!)


 心の中で呟く。そして時田は自室のベッドの上で腕立て伏せを始めた。1年生の時は最高で50回くらいできた。そして2年生の今は……30回で音を上げた。


(そんなに太っては無いから、単純に筋力が落ちただけ……のハズ? 次は――)


 ついでに時田はスクワットも始めた。


「77、78、79、80! っはー!!」


 スクワット80回で、時田の大腿四頭筋は限界を迎えるのであった。下半身のフットワークを鍛えとかないと、試合で上手くパフォーマンスできない! 時田はその後もサーキットトレーニングを続けた。


「っくはー!」


 3日前なのに、3日しか無いのに、無謀と分かっていながら、時田は筋トレに勤しんだ。

 3日間、時田はストレッチや筋トレを続け、体力不足を補おうとした。補えたかは知らないけれど。


 長いと思われた3日間も、ふたを開けてみればあっと言う間に過ぎ去り、時田は退院日当日を迎えた。


「お大事にね」


「ありがとうございました」


「もう入院しないで済むように、頑張ってね」


「はい、頑張ります」


 とりとめのない会話を看護師さん達と交わし、時田は病院を後にした。

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