表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最凶の人生  作者: 時田総司(いぶさん)
5章 絶望の中学編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/39

12 何もできなくなった自分に対して、それでも手を差し伸べてくれる関係が温かい

 精神病棟二日目――、時田は診察を受ける事となる。


「調子はどうですか?」


 主治医の先生が話し掛けてくる。


「……普通です」


「そうですか。学校、行きたくなりませんか?」


「! …………」


 時田は考える。


(そうだ。学校……監視されるかも知れないけど、ここよりはマシかも知れない。ここは僕が来るべき場所じゃあないのでは……?)


「学校に行きたいです」


「良かった」


 笑みを見せる主治医。続けて言う。


「どんなことが嫌で、ここに入院になったのかな?」


「頭で考えた事が読み取られる何かを使われて、監視されました……」


 顔をしかめる主治医。


「妄想、幻覚と……」


 その小声を聞き逃さなかった時田は必死になった。


(本当なんです、本当にそんなモノが存在するんです……なんて、言えない……)


「ご飯をしっかり食べて、お薬を飲んで、ぐっすり眠りましょうね」


 診察は終わった。


「…………」


 時田は当然納得いかなかった。しかし、




(どうあがいても分かってもらえない)




 そんな言葉が脳裏を過るのだった。


 ――、

 その日は、シゲミが面会に来た。お菓子を少々と、ゲームを持ってきてくれた。これで、口が寂しい時や、暇な時間をやり過ごせる。


「ありがとう」


「大丈夫か?」


「――――」


 とりとめのない話を交わして、面会は終わった。


 実はゲームっ子の時田は、まだクリアしていなかったfather1+2を心おきなく楽しんだ。


(ここ難しいな、攻略本あればなぁー)


 ゲームをしていればいいだけになったので驚くほど時間は早く過ぎ去って行った。



 ――、

 入院して3日目か4日目には学校の担任と、保健室の先生が面会に来た。


「こんにちは」


「元気でしょうったか?」


 挨拶を交わす。色々な話をしただろうが、時田はその内容をあまり覚えていない。唯一覚えているのは、こんなところに一人で生活するなんてすごい、と保健室の先生が言った事。それと担任も、こんなところじゃワシはよう生活できんぞ、といった感じの話をしていた事くらいだ。こんなところ、ねぇ。そういう風に時田は少し気が落ち込んだ。


「じゃあ、帰るわ。元気にな」


「はい、さようなら」


 面会は終わった。



 一つ、困った事がある。時田がお菓子を少々持っていたのを、見かけた患者さんが居た。その患者さんは、何かくれ、と時田にせがんできた。今回だけですよとグミをあげた。すると、その日のうちにまた、何かくれ、とせがんでくる。流石にしつこいのでナースステーションに言いに行った。看護師さんはすぐに対応してくれた。そして、


「時田君は優しいから……。でも、もうお菓子あげたらいけませんよ」


 と、一言。



優しい――?



 時田は自分の事を優しいと思ったことは無い。普通だ。至って普通の性格をしていると思っている。だから、“何か”を使われた時は相手を攻撃したし、自分から折れることは無かった。




 でも、それで良かったのだろうか?




“何か”の使用は、同級生が始めた事では無く、同級生の保護者が始めた事だ。善悪の判断がつかない中学生は、大人に言われるがまま、監視を始めたのかも知れない。同級生も、保護者の被害者では……? 時田は何が正しい行動だったのか分からなくなった。自分が、当然と思ってした事を少しだけ後悔した。


(ユマと岸田君に……いつか謝ろうか……? ……いや、逆効果か)


 時田は少し考えてから、床に就いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ