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最凶の人生  作者: 時田総司(いぶさん)
5章 絶望の中学編

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9 狂っているのはどっちだ? 世界か自分の方か……? いずれにせよ尿意の為トイレに猛ダッシュ

 初めてあの現象に襲われた日、“あの日”から2日が経とうとしていた。あの日から時田は、自分がずっと監視されているのではないかと考え込むようになり、今でも誰か居るのではないかと思うようになった。本当に誰かが居るのか居ないのかは、この2日で判別が付かなくなっていた。



(ユマ死ね……)



 必死の抵抗も、数の暴力の前では力なく無意味な戯言に終わる。そして、その戯言を聞いている人が居るのか居ないかさえ、今では時田は分からなくなっている。


 頭痛がする。気力が無い。体から異臭がする。


 中学二年生、思春期の男子を痛めつけるには充分過ぎる程の威力を、“それ”は持っていた。“それ”が何なのか、時田は説明すらできなかったが――。



 ――、


 あの日から一週間が経った。


 離れからは、相変わらずクラスの女子達の声が聞こえてくる。その声が、本物なのか、はたまた、幻聴か何かなのかは時田には分からないのだが――。


(あと数日で、夏休みが終わる――)


 学校が始まると何か変わるのだろうか? もっと状況は悪くなるのか?


 時田は期待と不安で心が落ち着かなかった。そわそわする。もし、状況が変わるどころか、悪化したら……。考えるだけで時田は頭が痛くなった。



 そして――、



 終わりの見えない、残酷な夏休みは終わった。


 9月――。

 登校日がやって来た。


 時田は独りで、自分の足で学校に通った。


「おはよう!」

「おはよー」


 休み前と変わらぬ日常――、生徒同士での他愛ない挨拶が交わされている。


 時田は誰にも挨拶できずに、席に着いた。そして不意に、尿意を催し、トイレに向かった。すると――、


「行ったよアイツ」

「うんこかな?」


 時田について、噂話されている。


(小だっての)


「小だっての」



「――だってさ」

「マジ?」

「こっちの声聞こえてんじゃーん」



「!」



(夏休みと同じで、“何か”を使われている!)


 時田は緊張のあまり、出るモノも出なくなった。そして思いを巡らせる。


(頭で考えた事が読み取られる何か。そんなモノが、学校にも持ち込まれている……! こんなにもリアルタイムで動く、しかもMRIよりも精度の高いモノが、簡単に持ち運びできるモノなのか……!?)


「何か言ってるよ? あー、言っては無いか……」

「ほっとこほっとこ。『インテリエロサイト』ちゃんにしか分からないって」


 トイレの窓は開いていた為、教室からの呑気な声は簡単に聞き取ることができた。


(何て危ないモノを……!)


 ふと、夏休みのキャンプで耳にしたセリフを思い出した。



(回想)


「……これだけは使いたくなかったんだが……」


(回想終了)



(何が『使いたくなかった』だ。なら使うなよ……)


 時田は心の底から、そのセリフを吐いた同級生の保護者に、憎しみを抱いた。その保護者は確か、男だった。


 トイレから戻って来る。


(このクラスの生徒の保護者中に、頭で考えた事が読み取られる何かを所持する者がいる……。誰の親だ? どうやって特定する?)


 その前に時田は、夏休みのあの日が、自分の幻覚では無かったかどうかを確かめる事にした。


(一番気の弱そうな渡辺だ。アイツに問いただそう)


 時田は渡辺に近付いた。そして言う。


「よう、渡辺。夏休み中に家に来なかった?」


 視線を合わせない渡辺。もう既に怪しい。


「い、いや……行かなかった」


 どもりながら答える渡辺。


(クロ、だな)


 時田には、明らかに嘘をついているのが分かった。そして自分の感じていた事は正しいと、判断した。



 !



 時田は、不意にある事を思い出す。



(“何か”は!?)



 さっきまでトイレに行っていた。その時間も、“何か”はクラスの女子達によって使用されていた。


(どこにある?)


 周囲をキョロキョロと探すが、それらしきモノは見当たらない。


(まさか――!!『頭で考えた事が読み取られる』そんなオーバーテクノロジーとしか言いようがない程の性能な上に、デジタルカメラ程の大きさしかないのか!?)


 時田は、到底理解が追い付かない現実に激しく困惑した。


(さっきの渡辺との会話で自分が正しいという確証は得たはずなのに……)


 時田は再び、世界がおかしいのか、自分がおかしいのか分からなくなった。

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