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最凶の人生  作者: 時田総司(いぶさん)
5章 絶望の中学編

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7 未知――、それは理解できないものへの本能的な恐怖。そして、僕はその知らぬ闇に足がすくむ

 時田は頭の片隅だけ使って考えてみる。


(『時田君の頭の中が』どうとか言っていたような……。それが分かる、何か? そんなモノ、あるわけ無いか。脳波をとるのにも、大掛かりな機器や、頭に付ける、吸盤の様なモノが要るっていう時代なのに)


 時田はすぐにその疑問に対して、頭を使うのを止めた。


 そして、十冊以上持って来た漫画を読み進めていくうちに夜が明けていった。






(もうすぐ5時だ!)






 夜が明けるのと同時に気持ちまで明るくなるように、時田は心を躍らせて砂浜へと足を進めた。


 予定通り、日の出をバックに、時田は砂浜を走った。もうすぐ訪れる、“終わりの始まり” を知るよしも無く――。




「痛ててっ」




 数分走ったところで、海水が足に染みた。ふじつぼか何かでケガをしたらしい。ふと、足の指を見てみる。直線的な傷が、確かに刻まれていた。血も少量覗かせていた。見ているだけで痛い。裸足で走るのは頭がいいとは言えなかった。こういうところで、ミスするのが時田の悪い癖だ。走るのを止めてテント近くまで帰った。


 1泊2日のキャンプだが、時田と同じく徹夜した同級生も多かった。


 朝ごはんを食べ、何かしら話をしていたらすぐに昼ご飯の時間となり、その時間もすぐに去って行き、キャンプは終わった。


 自分の親が幹事のキャンプだったが、時田はハズレのキャンプだったと思った。場所はガタガタのキャンプ場で、海辺の割には釣りも海水浴もできそうにない、きったない海岸だった。時田は愚痴を心の中で言いながら、車に乗せられて家路を辿る。徹夜した所為か、車の中で眠ってしまった。随分と安心した様子で――。




 家に帰っても、眠気は取れない。


「徹夜なんかして! 今から眠っときなさい!」


 帰ってすぐ、時田は祖母・フサヨに叱られ、再び1階で眠ることにした。




 時田が眠りに就いて、小一時間程経っただろうか? 廊下を挟んで隣にある、広間から何やら声が聞こえてきた。


「あなたの教育がなってないからよ!」


「このままだと、犯罪者になるわよ?」


 時田の聞いたコトのある、声だ。


(アイツら……!)


 それは昨夜も聞こえていた同級生の保護者達の声だった。




(保護者達が来るのは、初めてだ! 車の後をつけてきたのか……? 何にせよ、不法侵入だ! 警察を呼んでやる! それに……)


 時田は、物心がつく頃から自らがずっと盲信している父・シゲミの笑顔が脳裏を過った。



(僕の父さんは間違ってない! 教育がなってないのは寧ろお前達の方だ!!)



 時田は保護者達に殴りかかろうと、その場から立ち上がった。その直後――、




「まぁまぁ、人様の家庭のことを、他人が口を出すものじゃあありませんよ」




(これは聞き覚えのある声だ!)


 その時口を開いたのは、時田がいつも遊びに行っている岸田君の家の、お母さんだった。そのお母さんは、教師をやっている。


(流石、教育者だ。言うコトが違う)


 時田の怒りはその一声で収まった。いや、収まってしまったと言った方が良いだろう。この後始まる、地獄の日々のことを思えば――。


(怒りが収まったから、もう一寝入りしよう)


 時田は祖父・ヒデシや祖母・フサヨと同じ2階の部屋で寝ていて、毎日8時間は寝かされるので、徹夜した分を取り戻すためには少々時間が掛かる。そして――、


 この時、時田は再び1階の部屋で眠りについた。




 ――、

 数時間後、時田は目が覚めた。


(17時か……)


「おい、起きたみたいだぞ」


 遠くで声が聞こえた。




(岸田君か……?)


「岸田君か……」




(! ! ! !?)




(今、思ったことが誰かに知られ……!?)




「今、思ったことが誰かに知られ……だって。本物じゃん、コレ」




(! !?)




(春俊の声が……。ナルも居る……)


 兎に角、今何が起きているのか、整理しなければ、そう時田は動揺していた。



(回想)


「どうなっているのかしら、時田君の頭の中」


「それ、絶対使うべきよ! 早く準備して!」


(回想終了)



(あの時の、あの言葉……! 頭で考えた事が、読み取られる“何か”を使われている……!?)


 時田は、混乱と恐怖が同時に押し寄せ、ただ両の手で頭を抱えるしかなかった 。

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