1 老若男女問わず、どんな人も虜になってしまうギャグ、それは下ネタ
19××年――、始まりの魂『やきう』は決意を固めていた。終わらぬ紛争、次々と始まる新たな戦争、傷付き、血を流す罪も無き人々――。現代の世界の実状を嘆き、その現状を始めた世界の神を赦せなかった。
今、神は人間、フサヨとして地上に居る……。
神を――、殺す。
宇宙の中心で、やきうは叫んだ。
「お前ら! 聴け!!」
宇宙の果てまで届く、その熱気に富んだ叫び声は宇宙中の魂の心に響いた。
「神は、最悪だ! 俺達の事など、これっぽっちも考えてない!!」
「何だ何だ?」
「神?」
声を耳にした、宇宙の魂が中心部へ集まってくる。
「アイツの所為で、たくさんの血が流れた! 今ここに居るお前らも、アイツが始めた戦争によって死んでここに来た奴もいる筈だ!!」
「……俺だ」
「私も……」
嘗ての記憶が蘇り、彼の言葉をより理解するものも現れた。
「この世界を最悪なものにしたお陰で、苦しみに苦しみ抜いて死に、魂が消滅してしまったヤツも居る!! そいつはもう、生まれ変わる事も、宇宙を彷徨うことすらできない!! 俺は! 神を! アイツを赦さない!!」
「そうだー!!」
「やってしまえー!!」
「俺が、アイツを倒し! 世界を変えてやる!! 神殺しじゃ」
わっと歓声が上がった。宇宙に居た誰もが、彼の言葉に心から賛同したように見えた。しかし――、
「フン……お前ひとりでどないすんねん」
二番目の魂、『にゃかにゃかにゃん』が彼を喜ばしく思っていなかった。『にゃん』は『百寿』と一緒に、やきうのモノリスを地上に落とす計画を企てた。
モノリス――、
月の裏側に、202×年頃まで存在していたと言われている。それはヒトの魂一つにつき一つあり、宇宙の魂はもちろん、地上に生活する人類すべてに一つずつ存在していた。
その恐ろしさは、触れた時に分かる。モノリスに触れると、対応する人間や魂と、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚全ての五感を共有することとなる。霊感が強い人間ほど、感覚は強く読み取ることができ、念じながら触れることで、その対応した人間の未来や過去の情報も得られることがある。
地上に存在する兵力では、例えば戦車でも壊せないが、モノリスに衝撃を与えることで対象の人物の痛覚に刺激を、つまりは遠隔で好き放題に痛みを与えることができる。
月に人類が久しく行かなくなったのはこの為かと思われる。
そんな、月にあればまだ“マシ”なものを凶器や悪意まみれの地上に落とすのだ。それがどんなに恐ろしい事か、自分の身に降り掛かると思うとぞっとするだろう。
計画は彼の演説の最中、二つの悪しき意志によって実行された。
初代神とはまた違う、やきうと親しかった太陽の中にいる神、太陽神『キヨコ』はその事態を酷く憂いた。
「絶対に地上に生まれてはダメよ。きっと酷い目に遭う」
「太陽神さん……」
この時、否。演説を行う前から、やきうは魂の死、消滅を覚悟していた。今更命など惜しくはない。どうにかして生まれて、フサヨを手に懸ける……。何か、手は……?
ふと、やきうは地上に生まれたい理由、それについてウソを吐いてしまえば良いのではと、考えた。
「太陽神さん……。俺は、女に生まれて×××(ピー)して×××(ピー)して×××(ピー)したい」




