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最凶の人生  作者: 時田総司(いぶさん)
4章 小学校の真実

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1 うーわさをしんじっちゃいけないよー、あー負の連鎖止まらない(涙)

 時田の暮らしていた社宅――。


 その近辺は空気が悪く、小児喘息を患っている彼には暮らしづらいため、空気の良い田舎へ引っ越す――


 と、言うのは建前で、借金取りに追われていたため、正に絵にかいたの如く山と田んぼしかない田舎へと、時田一家は引っ越すこととなった。


 借金は何故? 

 その額は? 



 答えは、母方の祖母。



 800万。



 時田のおばあちゃんが作った借金を血も繋がらない彼の父シゲミが背負うコトとなったのだ。何やら宗教絡みの献金がどうとかで――、


「残り150万から200万くらいなので」


 と、母方の祖母に言われ、彼のシゲミはまんまと印鑑を押してしまったのだ。


「話が違うぞ!!」


 火の様に激怒した父は祖母に電話を掛けるが、既に祖母達は夜逃げして、ヤツらが暮らしていた家はもぬけの殻になっていた。かくして、-800万を得た父だったが、社宅の住所を割り出され、借金取りにまで追われるようになった。音を上げたシゲミは実家の山奥で暮らすことを余儀なくされたのだった。


 小学生からド田舎へ――。


 時田は周囲に振り回される形で引っ越すコトとなった。引っ越した先の小学校は、今にもつぶれそうな閉校寸前の小学校だった。同級生はたった一人。


「ヨロシク」

「うん」


 二人の小学校時代については、後程。


 小学校から帰ったら、母V.S大人全員の、家庭崩壊ゲンカが毎日の様に巻き起こっていた。家事、育児、諸々――、何もせずに寝て食ってするだけの母キヨコに、父シゲミ、父方の祖父ヒデシ、父方の祖母フサヨ、曾祖母マサヨが怒りを露にしていた。互いに言葉をぶつけ合うたび、怒りの火花が空気を焦がした。


「ちょっとこっちに来い!!」


「嫌よ! 行ったら引っ叩かれるもの!!」


 父と母が言い合いになっている。



「いいから来い!!」



 父が母に向かっていき――、パァンと、頬を平手打ちした。


「ケンカぁ止めてぇ! 止めないと、怒るよ!!」


 時田の姉かの子は涙しながら怒鳴っていた。


(もう怒ってるじゃん)


 時田は凍る様な修羅場に、涙さえ零れなかった。


「あっちへ行っときんさい」


 祖父ヒデシに促され別の部屋へと、時田は移動し――、


「うぅ……」


 一人になった時田はとうとう、両目から零れてくる生温かい雫を畳に落としていった。


 小学校にて――、

 

 たった一人の同級生、下岡君は悪い言い方で言うと、出来が悪かった。テストの点数が低い、発音できない文字がある、宿題をやってこない。


「何でそんなにバカなん?」

「何で宿題やって来んの?」


 小学生は、時として残酷だ。時田とて、そうだった。たった一人に対し、心無い言葉を投げかけていた。かけっこも、負けなかった。勝ったなと、常々思っていた。


 小学校低学年までは――。


 同級生よりも、1学年上の2年生の男の子の方が、仲が良かった。閉校寸前の、30人も生徒が居ない小学校は、1・2年学級という二学年で1つのクラスという体系をとっていた為、関わることも多かった。頭が良く、勉強を教えてもらったり、家に遊びに行ってゲームを一緒にしたり――。


 時田は小学校生活を過ごしていくうちにあるコトを思うようになった。



(家、帰りたくない)



 家に帰ったら家庭が崩壊している。いつもいつもケンカばかりしている。ずっと学校に居たい。ずっと友達の家に居たい。

 時田は叶いもしない願望をそれでも心の底から願い続けていた。手の届かぬ夢に指先を伸ばす瞬間、世界は静かに揺れ、心はただ、その希望に縋りつく。


――、


 小学校二年になったある日、時田は学校帰りに違和感を覚えた。



(母さんが……居ない……?)



 動揺した時田は、フサヨに聞いた。


「母さんは?」


「母さんはねぇ、入院したんだよ」


「入院……? いつ良くなるの?」


「暫くだよ」



 この“噓”に時田は気付かなかった。



 それから間もなくして、学校中に時田の母の噂を言いふらす輩が――。


「時田家のお母さん、ちょっと前に大荷物積んで、車でどっか行ってたよ」


「ホントだって見たんだよ」


「時田家のお母さんが――」


「時田家の――」


 1学年下の1年生のスシマ。そいつが学校中に“その日”見た光景を言いふらしていた。


『バカ』、『宿題しろ』等と言われ、時田に嫌悪の感情を抱きつつも、卑劣な行為を目にすると胸がひりついた。そんなたった一人の同級生が、スシマの言動を不快に思い、時田に一言伝えた。


「スシマが――」


「そう。教えてくれて、ありがとう」


 あの日の“嘘”を信じたかった。


 もしかしたら……でもやっぱり……。真逆の二つの思いが、時田を巡る。

 しかし真実はドラマティックさを超え、冷酷な現実で――、時田の母は“その日”離婚していた。

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