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最凶の人生  作者: 時田総司(いぶさん)
3章 虐待編

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2 小さな子供が火で遊ぶもんじゃあありません、おしっこする夢見て、寝小便垂れちゃうぞ☆

「総司っ。総司っ!」


「なぁー! もう、くっつくな」


「そんなコト言ってもぉ……総司っ!」


 目の前で妻と、最近できたばかりの義理の息子がベタベタと戯れている。沸々とシゲミの身体の奥底から、煮えたぎる思いが募っていく。この現状を彼は是としなかった。



「!――(なんかむかつく!!)」



 シゲミは口をすぼめていた。


「ヤメロっ! ……やめ……」


 キヨコとイチャついていただけに見えた時田だったが、突如としてガクッと上半身の力が抜け落ち、キヨコの腕の中でだらんと身体を伏せ、気を失った。


「あぁっ!! 総司!? 大変、アナタ。病院に連れて行かなくては!!」

「おっ……おう?」



 ――、


「栄養失調の様な状態です。直ぐに保育器に入れなければなりません」


 シゲミの運転で、時田は産婦人科医院へ連れていかれた。何千回も神に殺されていた時田は、身体から栄養が無くなると、いう症状に見舞われていた。直ぐに処置が施された。当時のその場所は、効率性を考えて他にも様々な赤ん坊が寝かされている場所だった。

 数日後も、シゲミは、お見舞いにと、その医院を訪れる。何人もの赤ん坊が寝ているその部屋に着き、シゲミは時田を見つけた。


「皆おんなじ顔じゃ。これでは見分けがつかん……これ、キセルじゃ」

 ジュボっとシゲミは室内でライターを使い煙草に火を点した。そして――、


「!!!?」


 明らかにキセルとは違うその煙草を、時田の右の額に擦り付けていった!



「あ゛ぁぁあああああああ゛ぁぁあああああああ!!!!」



 ニコチン、タール……様々な有害物質を含んだその炎は、時田の皮膚を焦がしていく。生まれて1週間くらいの柔肌に対し、それは余りに高温で、熱さよりも濁ったような痛みに感じた。


「どうされました!?」


 医者と看護師が駆け付けた。そこには、煙を吹かしている男の姿があった。男は右手にある灰色の火をヒョイと見せ、飄々と口を開く。


「これ、貴様らも喰らうか?」


『!!!?』


 駆け付けた全員は絶句した。目前に泣き喚いている赤子の姿があったからだ。


「鬼!! 悪魔!! 何しに来たの!?」


「“お見舞い”じゃ……」


「!!」


 看護婦は耳を疑い、泣き、崩れた。



 その火傷傷は、令和になった現代、アラフォーの時田の額に今でも残っている。小学生の頃、その跡について聴くと、父は答えた。

「夏祭りに、総司がこけてコンクリで打ったんじゃぞ……」



 ――、


 看護婦は鬱病を発症し、退職した。退職しなかった他の職員も頬を濡らしながら勤務をしていたという。時田の退院日が来た。


「滲みが付いている……アナタ、お医者さんは何か言ってなかった?」

「なんも」

「そう……総ちゃん、今日からお家で暮らせるからねー」



 地獄が始まる……。



 時田は幼いながらそう感じていた。物心が付く前の霊感と霊力で何とかするか……? いや、実際にこの身体じゃあ神には何もできなかった。そう怯えているうちに社宅に着いた。


「お料理するわね!」


 母『キヨコ』がキッチンへ行き、姉の『かの子』も幼稚園に通っている、父『シゲミ』と子『時田』が居間に文字通り二人きりの状態で、父は子に言い放つ。


「ワシはお前が嫌いじゃ。早く死ぬと良い……」


 父は子の頭部を、トンカチで殴った。

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