1 宇宙って魂の世界だから、人間が生命の起源をとかぬかして侵略しに行っちゃいけないのよ
これは地球が、否。宇宙すらもまだ出来ていない頃の話である。
まず、世界は無限だった。形、音、光、魂さえも、その全てに限りが無く、只々広がる無限の空間に、ポツリとたった独りの魂が居た。それが、神だ。神は無限の世界に居た。限りが、無い。そう、どこからどこまでが神の一部で、どこからどこまでが神の全部か分からない。そして更に言うと、神は無限の存在だった。限りが、無い。当時、世界のすべてが神であるかの様だった。
神は全ての始まりだった。何も無い、というモノも無い。そして無いという概念すら無い場所に、突如生まれた。それが神だった。それほど特別だった神は、誰もが敵う筈もない力を持ち、全ての頂点に君臨する存在だった。神しか世界に居ないのだから、当然と言えば当然だが――。
数千年、数万年、数億年はたまた、数兆年か、誰もが最初に数え始める事すら諦める程途方もない時間が経つにつれ、その力も徐々に失われていった。たった独りでその時間を過ごしていた為、全てを超越する力を持っていても、誰ともそれを共有することなく、誇示することもなく、鍛えることもできなかったからであろう。
何時しか、神は数字を数えると、いうことをし始めた。
「1………。1……?」
いち。
それを自分とは真逆の存在として創造し、認知した。そこで初めて世界に有限が生まれた。自分(神)と、他(1)。自分と対称となる関係が欲しかったのだろう。もっと言うと果ての無い長旅に疲れ、話し相手が欲しかったからなのかもしれない。
しかし神は『1』を恐れた。1は自分と同じくらい誰もが敵う筈もない力を持っていたからだ。次は、最も弱い者を――。そして神は『2』を創造した。神は次々に数を数えていった。
「休みたい。休みを象徴する『3』。何かを成し遂げたい。達成を象徴する『4』。努力せねば。努力の『5』。努力が実るには……『6』。流れと速さを……『7』――」
『9』を数え終えた頃、次の数字が恐くなった。次は、終わりの数字――『10』
10――。
それは60進数の前半を1~60まで、後半を61~120までとした場合、前半で最も不吉な数字と言われている。スポーツの世界で、キャプテンなどが『10』の番号を背負うのは、一番上手い選手のパフォーマンスを落として、ゲームバランスを良くする為である。おっと余談だったか。
その終わりの数字を数える――。神は駄菓子屋で10円くらいの駄菓子を万引きする寸前の小学生の様な、そんな背徳感による刺激を、今まで味わった事の無い甘美な果実の様に感じ、快楽を感じていた。そこで――、
『ヤメロ……』
何も居ない筈の空虚――、そこから“声”が聞こえてきた。
神である自分と、ただの数字しか存在していない筈……。神は更に『10』を数えるのが恐ろしくなった。何か、自分ではない何者かが、この世界に現れた……? そういった一つの疑問が、神の脳裏に迫りくる影の様に巡り巡る――。恐怖が最高潮に達した時――。
「じゅう……」
神は数を数えた。甘美な果実を味わう為に――。




