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辻沢のアルゴノーツ ~傀儡子のエニシは地獄逝き~  作者: たけりゅぬ
第二部 辻沢日記(コミヤミユウのセルフライフドキュメント)

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「辻沢日記 37」(屍人とヒダルと)

 ものすごく迷ったが、夜野まひるの車で送ってもらうことにする。


ユウがそうしろと言うのもあったけど夜野まひるに聞きたいことがあったからでもある。


 社殿を出て、峠道へ通じる林道に向かう。


山の中は月の光も届かず真っ暗だった。


こういう時、あたしは夜目が利くので問題ない。


それは夜野まひるも同じようで明かりを持っていなかった。


 夜野まひるの後について歩く。


しかし、こんなに後ろ姿が美しい人がいるだろうか。


どこから見ても完璧なんだが。見惚れてしまう。


 森が開けて月明りで少し明るくなった場所まで来ていた。

 

砂利が敷かれた道路脇のスペースに赤いスポーツカーがあった。


きゅぴ!

 

聞き覚えのある音。


幌が掛ってるけど、この間ユウが乗っていたオープンカーのようだった。


これってオトナのじゃなかったの? 


品川ナンバーじゃん、夜野まひるの車だった?


あんな汚いまんまにして、それと知ってたらお掃除したのに。


「どうぞ」


 車内に入ってこっそり匂いを嗅いでみた。


あの日の悪臭はなくなっていて、夜野まひるのスイートルームと同じ辻沢らしい香りがしていた。


 エンジンの心地よい振動にお腹の真ん中を刺激されながら峠道を走る。


車はワインディングロードを下っていて視界の先の闇夜にさらに黒々とした青墓の杜が広がっていた。


 それで、四ツ辻に行くには一度山を下りて辻沢の街に出て遠回りしなければならないことを思い出した。


 夜野まひるとドライブだなんて浮かれている場合ではなかった。


帰るなんて言わなければよかったレベル。


「なんかすみません」


「いいえ、夜はいつも一人で退屈してますから、こうしてどなたかとご一緒できるのは楽しいです」


 社交辞令だよね。


夜野まひるの表情を盗み見ようとしたら目が合った。


「なにかお話したいことがおありでは?」


 心の中を読まれている。


夜野まひるといるいうとはこういうことなのだった。


「ユウのことで」


 それしかないけど。


「いつからあの子は傀儡子神社にいるんでしょうか?」


 あたしのリサーチでは、春先まではN市の空き倉庫にいたはずだった。


「確か、わたくしがミユウ様と出会ってすぐだったかと」


 ユウは必ず狩場に近いところを住処にする。


ユウの狩りを充足させるほどの蛭人間や屍人がこの辺りに現れるということはあまり考えられない。


「どうして傀儡子神社なんでしょうか? 何かユウは言ってませんでしたか?」


「仰ってましたよ。たしか、役者がそろうのを待ってるって」


「役者? お芝居でもする気、じゃないですよね」


「はい、けちんぼ池です」


 役者って夕霧太夫と伊左衛門のこと? ヒダルが集まって来るの? みんな傀儡子神社に?


 そういえばユウは、けちんぼ池を見付けて埋めたいって言ってたんだっけ。


そんなにあたしとのエニシを断ち切りたいのかな。


あんなにお世話してあげて来たのに。


いや、それはあたしの都合。ユウには関係ないことだ。


ユウはあたしと縁を切ってどうしたいんだろう。


自由になりたいのは分かるけど、その自由な世界にあたしがいてはだめなんだろうか?


あたしはユウと一緒ならどこまででも行けるのに。


……あたしって重い女なのかな。


 いつの間にか車はくねくねとした道を走っていた。


四ツ辻に向かう山道に入ったのだ。そのきついカーブを曲がるたびに暗がりにヒダルが蹲ってこちらを伺っているんじゃないかと思った。


「どっちもごめんだよ」


 ユウの言葉が耳に残っていた。


屍人にしろヒダルにしろどちらもだ。


でも、もしもなってしまったら。


あたしはユウを忘れてしまうんだろうか?


そうでなく忘れずにユウを追い求めて彷徨い続けるのだとしたら?


それって今のあたしとそれほど変わらない気がした。


(本日3エピソード更新)


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この続きは明日21:00公開です


よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾


たけりゅぬ

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