表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辻沢のアルゴノーツ ~傀儡子のエニシは地獄逝き~  作者: たけりゅぬ
第二部 辻沢日記(コミヤミユウのセルフライフドキュメント)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/188

「辻沢日記 26」(パジャマの少女)

 蘇芳さんの軽トラックでバス停まで送ってもらって、お礼して別れてから何分たっただろう。


たしか、17時台に一本来るはずだったのにもう18時を過ぎている。


バス停は、農園前の通りを挟んで反対側の深い谷間に迫り出すように設けてある。


まだ空は少し明るいけれどバス停の周りは既に暗く電灯がずっと前から灯っている。


こんな人も通わないような所に一人でいるのはさすがに心細い。


こういう峠の道にヒダルが出るって鞠野フスキが言ってたのを思い出した。


さっき残しておいた実サンショウの塩漬けにぎりを食べたばっかりだからお腹のほうは大丈夫。


 谷の底から、ジーーーーという耳鳴りのような虫の声とギョギョギョギョというどんな生き物のものか分からない不気味な鳴き声が聞こえてくる。


じっとりとした空気のせいで汗が首筋を伝う。


 山に反響して車のエンジン音が聞こえてきた。


やっとバスが来たみたい。


遠くを見ると稜線のカーブを曲がってヘッドライトの光をまき散らしながらバスが近づいてくる。


行き先表示には「38 辻沢駅」とあった。大曲経由は38番線だ。


 バスがゆっくりと止まって扉が開いた。


「大曲行きますよね」


「はい」


「じゃあ、大曲まで」


(ゴリゴリーン)


 乗客は一人もいなかった。


あたしは中扉に近い席に座った。車内はクーラーが効いていて一気に汗が引いていく。


 すぐ出発するのかと思ったらなかなか発車しないで何かを待っている様子。


こんなに遅れて時間調整というのも変だなと思っていると、運転手さんが入口に向かって身を乗り出し、


〈乗るのかい?〉


 と車外マイクで声をかけた。


 誰かが来るのを待っていたんだ。


少し間があって運転手さんが、


〈いや、だめだ〉


 と言うと、すぐに扉が閉まりバスが急発進した。


激しい動きに体を揺さぶられながら窓の外を見ると、バス停にパジャマ姿の女の子が立って、こちらに手を振っていた。


 しばらく走ってから運転手さんがマイクロホンで、


〈お客さん、変なのに好かれたみたいだね〉


「変なの。ですか?」


〈ああ、普通の子はパジャマ姿で「乗ってもいい?」なんて聞いてこないからね〉


 と言った。


 そしてマイクロフォンを切ると、


「ゴリゴリゴリゴリゴリ」


 口でゴマスリのまねをしだした。ヴァンパイア除けのゴマすりポーズ出来ないからだ。


 あの「変なの」はずっとあたしのことを付け狙ってたのだろうか? 


どうして襲わなかった? 


空飛ぶ生き物は前触れもなく襲って来たのに。


ということはまた違う生き物? 


とりあえず今回は蘇芳さんに持たせてもらった実サンショウの苗木と体中がサンショウ臭かったせいと思うことにしよう。


 5日後、蘇芳さんの農園での作業が一段落した。


その間、蘇芳さんのご厚意に甘えることはしないで毎日大曲からバスで通った。


蘇芳さんは、それじゃああたしの気が済まないと帰りだけはバイパスのバス停まで車で送ってくれた上、バスが来るまで一緒にいてくれた。


初日のパジャマの子の話を聞いてもらったのもあったと思う。


すごく心強かった。

 

ただ、毎日違う種類のサンショウの苗木を持たされるのには少々困った。


おかげであたしのホテルの部屋はサンショウの見本市状態。


(毎日2エピソード更新)

続きはこのあと21:10に公開します


おもしろい、続きを読みたいと思ったら

ブクマ・★・いいね・一言感想で応援いただけると嬉しいです٩(*´꒳`*)۶


よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾


たけりゅぬ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ