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辻沢のアルゴノーツ ~傀儡子のエニシは地獄逝き~  作者: たけりゅぬ
第二部 辻沢日記(コミヤミユウのセルフライフドキュメント)

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「辻沢日記 10」(生き別れの双子)

 ひさしぶりの辻沢駅。


日が暮れかけてきたころ宮木野神社行きのバスに乗り合わせる。


「宮木野神社まで」


(ゴリゴリーン)


辻沢の駅前に集まっていた迷彩服の人たち全員がこのバスに乗り込んできた。


格好は勇ましいけど、どの人も陰鬱な表情をして黙りこくっている。


まあ、スレイヤー・Rの実態を知っての参戦だろうから無理もないけど。


 数日前オトナからメッセージが入った。


 [〇月×日 20時 宮木野神社]


 調べたらスレイヤー・Rの定期開催日だった。


潮時にはあたらないので、オトナの意図はユウが参戦するからどうにかしろということらしかった。


もう慣れたけど、いつも上からで一方通行なこの対応はもう少し何とかならないものか。


ほんとこいつらコミュ障なんじゃないかと思う。



 高校に入るとあたしたちは辻沢に引っ越した。オトナの意向だった。


高校はユウが辻女であたしは辻沢から3つ隣の駅にある桃李女子高校に進んだ。


それが悪かったのか、高校に入学してからユウはあたしを避けるようになって、家で顔を合わせても無視された。


ユウは学校には行かずに街をうろついていたようだったし、寝泊まり先を色々変えながら夜に帰ってこない日のほうが多くなった。


3年生になるころにはオトナの影響圏から脱したらしく、家を出て勝手に一人暮らしを始めていた。


あたしは傀儡子使いとしてユウの動向を把握する必要があったから、手を尽くして居場所を突き止め、気づかれないように監視したりしていた。


高校を卒業するとあたしは非工業系の建築学科のある東京の大学に進学した。


オトナからは鞠野フスキのゼミへ参加することを条件として付けられた。


フィールドワークには興味があったし、高校から始めた調査に鞠野ゼミの経験が生かせると思ったのでOKした。


同時に辻沢を離れて大学近くの女子寮に入ったけれどユウの潮時には必ず辻沢に帰るようにしていた。


鞠野フスキのゼミに参加してみたら、学ぶ内容がこれまでの人生をさかのぼって意味づけするかのようだったから楽しくはあった。


 ゼミに初めて行った日、そこに自分と同じ顔した子がいて、それがあの時以来生き別れだった双子のミユキだと知らされた。


自分に双子の姉妹がいたことは忘れたことなどなかったし、時々夢に見たりしたのだけど、いざ再会するとどうやって接していいかわからなくて最初のうちは関係の再構築ができるか不安だった。


けれども女子寮の同じ部屋に住むことになってから、一緒にお買い物に行ったり、部屋でご飯を作って食べたり、お笑い番組をお腹を抱えて観たり、布団に入ってこれまでのことを夜通し話して過ごすようになって、その不安は払拭された。


実際のところ二人でいるのは思いのほか楽しかった。


ミユキは話しかければ返事をしてくれる。


面白いことを面白いと言って笑う。


あたしが悲しい話をすれば一緒に泣いてくれる。


それがあたしにはとても新鮮だった。


そのことをミユキに言うと、それって普通のことだよと言われた。


あたしには真逆のユウしかいなかったから。


ちなみにミユキは藤野という老夫婦の養女になってとてもよくしてもらってきたのだそうだ。


思い返せば、あたしのこれまでの生活に優しさや愛情など皆無だった。


藤野ミユキと小宮ミユウ。双子でもこうも違う人生になるのかと思った。


 こうしてあたしはしばらくの間、大学生活を夢中で過ごしていた。


友達も少しだけど出来た。


そんな時スレイヤー・Rというゲームにユウが参戦してるとオトナが知らせて来た。


ユウが関係者各位に迷惑をかけているから、あたしがなんとかしろということらしかった。


それが三カ月前だった。



 そして今、

 

宮木野神社行きのバスの中は迷彩服と汗の臭いが充満している。


死ぬ! 息継ぎしたい。と思ったら宮木野神社に着いたのだった。

(毎日2エピソード更新)

続きはこのあと21:10に公開します


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よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾


たけりゅぬ

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