表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辻沢のアルゴノーツ ~傀儡子のエニシは地獄逝き~  作者: たけりゅぬ
第二部 辻沢日記(コミヤミユウのセルフライフドキュメント)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/184

「辻沢日記 6」(狩場へ)

 辻沢着いた。寮出てから3時間か。


ギリギリ間に合ったけど、N市の乗り換えで終電逃すとこだった。


駅舎に入るとさっそく山椒の香りがする。


帰ってきた感ある。


えっと、バイパス線は3番乗り場か。


「バイパス大曲交差点まで」


(ゴリゴリーン)


 ゴリゴリカード少なくなっちゃった。


買い足しておかなきゃだな。


おっと、母校の桃李女子の夏服じゃん。ラッキー。


 西廓あたりまではお客さんもけっこう乗ってたけど、バイパス入るころにはあたしと最後尾の席でいびき搔いてるサラリーマンさんだけになった。


大丈夫かな、あの人。あーあ、シートにうつぶせで寝てる。


このままだとN駅まで連れて行かれちゃうね。


〈次はバイパス大曲交差点です。ヤオマンホテル・大曲店へお越しの方はこちらでお降りください〉


(ゴリゴリーン)


「運転手さん。後ろの席、まだ人乗ってますから」


「あー、本当だ。お客さんで最後かと思ってました。お知らせありがとうございます。夜道、気を付けてくださいね」


 ゴリゴリポーズしてくれた。


辻沢に伝わるヴァンパイア除けのゴマすりポーズ。


気休めだけど、ありがたいな。


 お城のようなシャトー大曲に行くにはこの地下道を通らねばならぬっと。


なんでここ横断歩道ないかな。


で、中は安定の気味の悪さ。


明滅するうすぼんやりの灯。


奥の暗闇から吹いて来る湿った風。


緑のヌメヌメしたやつのせいで滑りやすい床。


全部大嫌い。


 ここはユウを追いかけて何度か通ったけど、さすがに一人の時は怖い。


特にこの先の雄蛇ヶ池近辺は屍人の寄合い所でもあるの?


ユウが好んでここらを狩場にするくらいだから、いるんだよな、絶対。


結局あとでユウを追いかけて戻ってくることになるんだろうけど。


急いで外に出よう。


 そろそろ23時になるな。


シャトー大曲に着いた。夏の調査拠点を隣のホテルにしたのはユウがいつ地下道に現れても対応できるようにだ。


なんでもユウのことを考えに入れて決める。


それが習い性になってしまってるのが傀儡子使いの悪いところだ。


 地下駐車場ってここか。


カーテン廂がついてる入口を入り「駐車場こちら」の看板を右に見ながらスロープ降りて来た。


ユウはこれから来るんだろうか。


駐車場を見た限りでは軽自動車とかワゴン車ばかりで赤いオープンカーはなかった。


一台だけ赤い車あったけど、それはプリウスだったし。


来たかも。


なんか普通の車とちがうエンジンの音してる。


あれだ、乗ってるのユウだ。


赤いオープンカーって外車じゃない。


なんでユウがあんな車乗ってんの? 


でも、どこかで見たことあると思ったらオトナが乗ってる車じゃん。


そういうことか。


オトナはユウを懐柔することにしたのか。


でも、ユウは無免許のはず。


捕まったらどうすんだろ。またあたしが辻沢のエライ人に頭下げて回るの? 


 ユウのやつ、高2の夏に盗んだバイクで走りだしちゃって、スピード違反して警察車両とチェイスして、結局街道沿いの壁に激突して捕まってさ。


追いかけてたお巡りさんに、


「あの子、よく生きてたよ」


 とかって逆に感心されて。


その後、あたしがオトナにどんだけ頼んでもみ消してもらったか。


大変だったんだから、まったく。


傀儡子使いの心、傀儡子知らずとはこのことだよ。


 タイヤ軋ませながらパーキングエリアに停めて、乱暴だな。


傷つけたらどうするんだ。高級車だぞ。


あたしに弁償なんてできっこないから。


ユウが降りてきた。


幌がウイーンって勝手にあがってる。


ちょっとしたアビリティー感ある車だ。キッキュッって映画でよくある自動ロック音までさせて。


ユウは今入ってきたスロープを軽快な足取りで戻ってゆく。


あたしは気づかれないように少し離れて付いて行くのがいつものやり方だ。


ユウはシャトー大曲を出ると、バイパスに向かって歩く。


そっちは地下道がある。


あたしとしてはありがたくない方向だ。


でも、ユウがここに来る目的なんて地下道の屍人たち以外にない。


それを狩りにやってきたのだ。


 あと30分で月が南中する。


そろそろ潮時だった。


ユウの理性が野生に浸食され夜明けまでひたすら続く陰惨な時間が始まる。


(毎日2エピソード更新)

続きはこのあと21:10に公開します


おもしろい、続きを読みたいと思ったら

ブクマ・★・いいね・一言感想で応援いただけると嬉しいです٩(*´꒳`*)۶


よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾


たけりゅぬ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ