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辻沢のアルゴノーツ ~傀儡子のエニシは地獄逝き~  作者: たけりゅぬ
第一部 ノタクロエのフィールドノート

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「辻沢ノーツ 50」(オートエスノグラフィー)

 酷い気分。吐くものもう何もない。


トイレに籠って何分たったろう。毎回こんなじゃ、本当に身が持たない。


もうお酒はのみません。ランダ様。


? 待って、あたしお酒飲んでないから。


今回は誓って飲んでないから。


じゃあ、どうしてこんなに気持ち悪いのか? 


なんで頭がガンガンしてるのか? 


どうして何にも覚えていないのか?


 昨日は昼からスーパーヤオマンに行っていろいろ買い込んだ。


夜は、ミヤミユからの飲みのお誘いを断ってゴリプロを体に付けて準備して待った。


その時が来るのを。


で、これが撮影した動画。



〈えー、今夜は満月。ミヤミユはやっぱし誘って来ました。


予想通りです。


今はそれを断ってあたしの今夜の行動を記録するため準備してます。


毎度お酒に誘われて、フジミユの部屋で目覚めて、記憶が飛んでてって行動パターン。


それを今日こそ見極めようって。


どんななのか。自分を見失うほど酔っぱらう時、あたしが何をしてるのか。


それを知るのがあたし自身のフィールドワーク。


 これゴリプロです。


この通り胸装着用サポーターで付けてます。


ボタンの所からカメラをのぞかせてます。


これであたし自身の行動を記録します。


これってオートエスノグラフィーだと思うんだけど、違うかな?〉



 あたし自身のことを調べるのがオートエスノグラフィー。


でも、今回あたしがしたのをそう言っていいか不安がある。


なぜなら、あたしはあたしが知らない自分を対象にした。


あたしがあたしであるのはあたしと意識しているから。


あたしの知らないあたしはあたしじゃない他人。


だから意識が飛んだ後のあたしは誰なのか。


そのあたしは何をしているのか。


その調査観察がオートエスノグラフィーと言えるのか分らない。


でも、あえてそれをしたのは、そこにきっと「傀儡子」を解く鍵があると思うから。


 胸のゴリプロはあたしが動いた時用で、


もう一つの動画はベッドの横に脚立を立ててあたしを映したカメラのもの。



〈今、喉がカラカラです。


お腹がグルグルと鳴っています。


ペットボトルのお茶を口に含みましたが変な味で吐き出してしまいました。


口の中がねばねばしていて気持ち悪いです〉



 タイマーは夜の1時を回ってる。


周囲には特に変化がない。


そこでこっちの動画はこれでお終い。


というか、あと少しであたしがいなくなっちゃう。


その後は、ずっと夜明けごろまで空のベッドを映してて最後にあたしがベッドにもぐり込むのが映ってる。


 で、こっちがもとのゴリプロの動画。


さっきの場面までは部屋とか自分の手元の映像が映ってて、


〈……口の中がねばねばしていて気持ち悪いです〉


 ってところからしばらくして移動を始めるんだけど、この時点であたしの記憶はもう飛んでしまってる。


何も覚えてない。


決してお酒は飲んでません。


これ以降はずっと無言。


というか、ぜーぜーとか、ゴーゴーとかの荒い息を延々マイクが拾ってる。


だから、ここから先は動画を実況していく。



 あたしは部屋のドアを開けて、階段を下りて、そのまま玄関を出て行く。


門を乗り越えて、飛び越えて? 


夜道を歩き出す。犬にほえられてる。


あっちこっちの犬が吠え掛けている。


ここ三宅酒店がある坂道だ。


人が道の端に蹲ってる。


そっちに近づいてる。


何してるんだろ。介抱でもする気かな。


蹲った人を立ったままじっと見てる。


かなり長い間、その場で動かず人の傍に立ってる。


その人がこっちを見上げて何か言ったけど、聞き取れない。


離れた。


また歩き始めた。


通りに出たみたい。


これ目抜き通りだ。


酔っ払いとすれ違って、


〈ねーちゃん。こんな時間に一人かい。おじさんとどう?〉


まったく。下品なおっさんは氏んでくれ。


 しかし、こんなとこふらふらしてあたしは何やってんだろう。


道の暗がりにアベックいる。


あたしそっちに近づいて行った。


女の人泣いてる。


あたし女の人の手掴んだ。


女の人がビックリした顔でこっち見た。


女の人の目の下に青あざある。殴られたの?


女の人に悲鳴あげられた。


男の人が殴りかかって来たけど、あたし見て何か叫んだ。


男の人が女の人の手を引っ張った。


でも女の人、その手を振り払って反対の方に駆け出した。


男の人も別のほうに走って行った。


これじゃあ、あたし異常者じゃない。何やってんの? 


おばーちゃんが心配してたのはこんなことしてたから? 


 今度は駅前の明りに向かってる。


道を逸れた。


ここラブホ街だ。


こんなとこうろうろして。


何か探してるのかな。


あっち行ったり、こっち行ったり。


またアベック。こっちは近寄ってかないんだ。


ホテルから女の人出て来た。


立ち止まった。見てる?


この女の人、歩き方が変。


そっか、片方裸足なんだ。なんでだろう。


女の人の後をつけ出した。


女の人の後ろにずっとついて歩いてる。


女の人が気付いたっポイ。


うしろチラチラ見てる。


早足になった。あたしそれに付いて行ってる。


走り出した。追いかけてる。


明るい方に逃げて行く。


コンビニだ。女の人コンビニに入った。


店員に何か言ってる。


あたし外にいて中に入って行かないな。


店員のお兄さんがドアの所で叫んでる。


何か抱えてるみたい。すり鉢? ゴマすってる?


〈ごりごりごり すりこぎすりこぎ あっち行け! あっち行けって!〉


大声でおまじない。あれヴァンパイア除けのまじないだ。


なんであたしに?


女の人があたし見て叫んでる。


店員さんがスリコギ投げつけてきた。


あたし逃げ出した。


待って、コンビニのガラスに映ったのって……。


ちょっと戻す。


この獣はいったい!

(毎日2エピソード更新)


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この続きは明日21:00公開です


よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾


たけりゅぬ

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