表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辻沢のアルゴノーツ ~傀儡子のエニシは地獄逝き~  作者: たけりゅぬ
第一部 ノタクロエのフィールドノート

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/183

「辻沢ノーツ 42」(お葬儀の朝)

 けちんぼ池に行って目が覚めると布団の中にいた。

 

ここは公民館の休憩室だ。隣の部屋から人の声がしている。


起き出して行ってみると、みなさんお葬式の準備で忙しそうに立ち働いているところだった。


祭壇を見ると、棺桶が昨晩のままそこにあった。


あれは夢だったのか。それにしてはあまりに生々しかった。


寸劇・Zのでかい背中、手押し車の重さや棺桶のざらざらした板の感触、地面の摩擦も、白い女もけちんぼ池の水の輝きも、全てはっきりと覚えている。


確かにあたしはケサさんをけちんぼ池に送ったのだという実感があった。


 玄関に出ると扉が全て外されて無かった。


昨晩、寸劇・Zが壊したからか、人が出入りしやすくするため外したかは分からなかった。


道を見るとちょうどバスが来たところでいつもより多めに人が降りて来た。


中にスーツ姿のミヤミユが見えたので手を振った。


ミヤミユはあたしのほうに駆け寄ってくると硬い表情であいさつした。


「お疲れ。大変だったね」


 昨晩のけちんぼ池行きのことを言われたのかと思ったが、そんなはずないので、


「ろうそく継いだだけだから」

 

 と答えておいた。

 

ミヤミユには昨夜のことは言えなかった。


自分でも夢かどうかまだ判断できてないこともあったし、他言してはいけないような気がしたから。


 スーツに着替えて、ミヤミユと受付に立った。


空は晴れて強い風のせいで記帳が飛びそうになった。


お坊さんのお経が外まで響いて来る。


ケサさんのご遺体はあのお経を聴いているのだろうか。


ひょっとしたらお棺は空で、それにお坊さんがお経をあげていると思うと変な感じがした。


人は仏に導かれて浄土を目指すが、解脱していない衆生は六道に迷い輪廻を繰り返すという。


傀儡子はまた傀儡子としてこの世に戻る。夕霧太夫の言葉の意味が分かった気がした。


 出棺。四ツ辻は今も土葬だ。本来は用意してあった舟型の台車に棺桶を乗せて山の墓場に運ぶ。


けれども今日は台車が無くなってたので、若い男衆が棺桶の前後で差し棒を担ぎ山の墓場へと向かうことになったそうだ。


ムラサキコさんにこれから大変だからあなたたちは帰っていいよと言われたのでミヤミユと相談して辻沢に戻ることにした。


その時、形見分けと言うのもなんだけどと、昨晩着ていた白パーカーを頂いた。


もともとケサさんがあたしにと買っておいてくれたものだったらしい。


 バスの中でミヤミユは土葬の様子を録画させてくれと言ったら許可されたかもなと悔やんでいた。


確かになかなか出会えない習俗だと思うけれど、それよりあたしがひっかかっていたのは、男衆が棺桶を担ぎ上げた時に言った、


「この婆さん、やけに軽いな」


という言葉だった。中に遺体がなければ軽いに決まってる。


ミヤミユに一つだけ聞いてみた。


「青墓にけちんぼ池ってあるの知ってる?」


「知ってるよ。求めて探しても姿を現さないから《《けちんぼ》》池っていう。大方流砂に飲み込まれて無くなったんじゃないかな。それが何か?」


「ううん」


じゃあ、あたしが見たあの池は何だったんだろう。


(毎日2エピソード更新)


おもしろい、続きを読みたいと思ったら

ブクマ・★・いいね・一言感想で応援いただけると嬉しいです٩(*´꒳`*)۶


この続きは明日21:00公開です


よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾


たけりゅぬ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ