「辻沢ノーツ 2」(ドナドナ会議)
そろそろ日も陰ってきたのに、ミヤミユとサキとあたしの女子3人で大学近くのウィード・カフェ「スカンポ・ハウス」でお茶してる。
◇
少しさかのぼると、お昼食べてから文献探しにゼミ室に行ったら、ミヤミユが来て大盛り上がり。
ミヤミユは、入学式後のオリエンテーションでボッチしてたあたしに声を掛けてくれた時からの知り合い。
名前は小宮ミユウで苗字はちがうけどフジミユとは双子の姉妹で、なんとなくあたしとは気が合う子。
共通の話題、ゲードル(ゲームアイドル)グループ、REGIN♡IN♡BLOODのこと話してたら、いつの間にか戻って来てた鞠野先生にそろそろゼミ室閉めるよって追い出された。
河岸を変えて話の続きしようってゼミ棟出たら図書館の前でサキとばったり会って、お互い暇だねーって「スカンポ・ハウス」でも行くぅ?ってなって。
◇
で、今ここ。
サキも鞠野ゼミだけど、フィールドワークにはあんまり興味がないみたい。いつもスマホいじってる印象の子。
「どーする?」
ミヤミユがカタバミティーをすすりながら、酸っぱい顔をして聞いてきた。
もちろん調査地選びのこと。ミヤミユはもう決まってるみたい。
「結局、鞠野フスキーのオファーに従うことになるかも」
鞠野先生のオファーっていうのは、あたしもミヤミユと同じフィールドに調査に行くのはどうか、というもの。
鞠野先生にしてみたら、フィールドも決まらず、文献調査と言ってはゼミ室でうだうだしているあたしを早く片付けたいんだと思う。
けど、そういうのってモチベあがんないよな。
あーあ、なんでフジミユってあんなに一途にフィールドに行けるんだろ。
やっぱ、才能なのかな。
◇
「サキはどうするの? まだ決まってないんだよね」
ミヤミユが尋ねると、辻沢に関心なさそうだったサキがスマホを見つめたまま、
「辻沢は、やめたほうがいいかもよ」
「どうして?」
あたしはサキに言ったのだけどミヤミユが横から、
「ヴァンパイアとかホントにいるかも。クロエはあたしが襲われたらどうする?」
「あたしは死ぬ気で助けに行くけどね」
ミヤミユは少し驚いた顔になった。
しばらくしてサキが店の外を見ながらボソッと、
「おばさんがね。辻沢でちょっと」
その時はミヤミユも空気を読んで黙ったままだった。
するとサキが慌てたように話題を変えて、
「トリマ、コミュ障直さなきゃだよ。ウチの場合」
それな、一番のウツ要因。
フィールドはどことかテーマがどうとか以前に、現地で人とちゃんと話ができるかっていうこと。
アニメやゲームの話ならともかく、初めて合う何の接点もない人と会話をするって、今のあたしにはちょっと無理かもって思う。
「あたしもー」
ミヤミユ、あんたは違うでしょと思いつつ、
トリマ明日は区役所に書類取りに行ってこよう。
(毎日2エピソード更新)
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