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辻沢のアルゴノーツ ~傀儡子のエニシは地獄逝き~  作者: たけりゅぬ
第三部 書かれた辻沢(フジノミユキのオートエスノグラフィー)

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「書かれた辻沢 19」(サキの調査対象)

「書かれた辻沢 19」(サキの調査対象)

 ヤオマンカフェのテーブル席でサキがスマフォから顔を上げて聞いてきた。


「フジノジョシはなんで辻沢にいる?」


 再びスマホに目を落とす。


あたしだって潮時以外は自分のフィールドにいたかったけど、クロエのことが心配過ぎて居続けてる。


それでコテージに籠もってミユウの『日記』読んでたら、あたしは辻沢のことを知らな過ぎると思った。


それで辻沢のことをもっと知るために『スレイヤー・R』に参加してみようと思ったのだった。


ユウさんやまひるさんの話にも町の噂にも出てきた恐ろしげなリアルバトルゲーム。


いったいどんなモノなのか。


「別のフィールドも見ておいた方がいいって鞠野先生に言われて」


 サキがスマホから目をこちらに向けて、


「ふーん。で?」


 ?


「話があるって」


「あ、そうそう。辻沢に入ってる子に同行しようって。邪魔でなければだけど」


 と言ったのは本当だ。


「ミユウやノタで無く、なんでウチなん?」


 事情を知らないサキにしてみたら確かにそうだろう。


「サキって何してるんだっけ?」


「辻沢の生活習慣調査だけど」


「対象は?」


「ゲーム」


 それそれ。


「何ていう?」


「なんで知りたい?」


 鞠野先生の名前を出したせいで警戒されてるらしい。


簡単に口を割らなさそうだから、ちょっと強引かもだけど、


「『スレイヤー・R』って知ってる?」


 サキの表情に動揺が走った。そしてそれを隠すように下を向くと、


「やっぱりそうか」


 と言ったのだった。


「やっぱり?」


「鞠野フスキから頼まれたんだろ?」


 サキは窓の外の通行人に目を走らせながら言った。


「いきなりフジノジョシが会いたいなんていうから変だと思ったんだ」


 スマホに添えられた指が小刻みに震えている。


「頼まれた?」


「ウチが『R』に参戦してないか探りを入れるように」


「まさか」


「違うの?」


「違うよ」


 一旦サキに落ち着いてもらため、あたしが来た理由をちゃんと説明した。


それからどうしてスパイごっこみたいなことを考えたかサキに聞いてみた。


サキの説明はこうだった。


 辻沢に事前調査に来たとき勝手な行動をして鞠野先生にしかられた。


その勝手な行動というのが実は『R』の参戦だった。


フィールド入りしてからもバレたらやばいと思いながら参戦を続けていたので、もしやと思ったのだそう。


「祭りの最中、『R』もちょうど出玉祭りしててさ、つい」


 出玉祭りとは? そろそろ迷子になりそうだ。


それとサキは『R』と言うときいちいち小声になるのだ。


それで、


「別のところで話そうか」


 と提案すると、


「そうだな。じゃあ、ウチの拠点に来なよ」


 と言った。


 あからさまな不安な様子のサキに、


「鞠野先生が怒ってるって、気のせいかもよ」


 と言ってみる。


実際のところ鞠野先生は、事前調査のサキについて何も言ってなかったのだ。


「フジノジョシが言うなら、そうなのか」


 と安堵した様子でサキは、冷めてそうな山椒コーヒーを口に含んだのだった。


「……まっず」


 店を出てサキの拠点に向かう。


案内されたのは駅前のビジネスホテル、ヤオマン・インだった。


青墓に行くにも交通の便がいいから助かってるという。


連泊の宿代はミユウのヤオマンホテル・大曲と同じく辻沢町もちのはず。


役場が用意した拠点がドタキャンしたため鞠野先生が町役場と交渉して提供を取り付けたそうだ。


「入って」


 部屋の中は調査道具で所狭しと思ったら意外と荷物が少なく、テーブルの上にノートPCが、窓際に資料が積んである程度だった。


「綺麗にしてるね」


 自分のロッジを思えば物が少なすぎる気がした。


「ここはね。もう一つあって、そこはひっくり返ってるよ」


「もう一つ?」


 二拠点とはなかなかなことだ。

(毎日2エピソード更新)


この続きは明日21:00公開です


よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾


たけりゅぬ

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