「書かれた辻沢 9」(ゲーム女の品格)
「エニシが関わっている?」
ユウさんの言葉が気になった。
「そう。はっきりしたわけではないけど」
ユウさんは、これまでずっとけちんぼ池を探し続けてきたけれど、最近になって実はまったく逆で探させられてる気がしていると言った。
「特に、この間青墓でまめぞうたちに会って、おやって思った」
「最初はユウ様も役者が揃ったって喜んでいらっしゃいましたが」
まめぞうって夕霧物語に出てくる、お天道様の油つぎ?
「大男のアラブの人に会ったんですか?」
「アラブの人ではないが、『スレイヤー・R』でそれに似た3人のパーティーに会った」
あたしが「スレイヤー・R」で迷子になっていると、夜野まひるさんが
「辻沢でサバイバルゲームの体をして行われているリアル戦闘ゲームです」
なるほど、さすがゲームアイドル。
「ゲードルはもう辞めましたが、お褒めいただき嬉しいです」
え。あたし今声出してた?
「いいえ、ミユキ様が記憶の糸を読まれるように、わたくしは人の心を読みます」
するとユウさんが、
「気を付けた方がいいぞ。悪口なんか考えたらあとで痛い目あわされるから」
夜野まひるさんは楽しそうに頷いている。
なんかすごい人と知り合いになったみたいだ。
でもユウさんとは普通に接してるみたいだけど。
「ユウ様は心を読む必要がないのです。考えてることと言うことにまったく矛盾がないので」
と言って夜野まひるさんはユウさんを見つめている。
「それとミユキ様、わたくしのことはまひると呼んでくださいね」
そう言われて今までずっとフルネームで考えていたことに気が付いた。
わかりました、まひるさん。
「ありがとうございます」
「それでな」
ユウさんが話を戻す。
「その3人のパーティーは、まめぞうたちに年恰好がそっくりだったんだ」
一人は大男で一人はひげを蓄えもう一人は若い男だった、さらに大男は新月刀を振り回していたそう。
「あまりに符牒が合いすぎると思ってね」
でも、まめぞうたちに激似の人たちと出会ったこととクロエのこととどのような関係があるのだろう。
「なかなか現れないけちんぼ池だから現れるには条件をそろえなければと思ってた」
その条件が夕霧と伊左衛門、たくさんのヒダルたち、そしてまめぞうら大食人と役者が揃うことだとユウさんは考えていたという。
それらはエニシが繋ぐものだからエニシを辿ればいつか条件をそろえられると。
「けちんぼ池が本当にあるのなら、どんな行き方をしようと行けるはずだろ」
雄蛇ヶ池のように地図にある限り、チャリで行こうが歩いて行こうが車で行こうが行き方を限定されることはないということ。
「ところが、けちんぼ池はちがう。行きたい見たいといってもこちらの要求を聞いてはくれない」
逆にエニシから手順を踏めと言われているように感じるとユウさんは言った。
「クロエに扮した少女がエニシと関係があると?」
ユウさんは少し考えてから、
「エニシから役者が足りてないって言われた気がしたんだ」
続けてまひるさんが、
「ロールプレイングゲームでも味方側のアンチというのは必要不可欠です」
と言ったので、「これはゲームではないです」と言い掛けて止めたが、遅すぎた。
「あ、またやってしまいました。ゲーム女の悪い癖です」
と申し訳なさそうにしたのだった。
そこに鞠野先生からメールが来た。
[マモル そちらに行けそうにありません。バモスがレッカーで持って行かれてしまいました]
[ミユキ どうします?]
[マモル 大門総合公園に先に行って待っています]
[ミユキ 分かりました]
「鞠野先生、こっちに来られなくなったみたいです」
と伝えると、
「そうなんだ。先生にいろいろ聞くのは今度でいいか」
とユウさんが言うと、
「では、わたくしのところでお昼でもしませんか? もちろんミユキ様もご一緒に」
「了解。あの、まっずい牛乳だけはごめんだけどね」
あたしは、初対面でしかも聞けば有名な方にお昼をお呼ばれしてしまってどう返事をしていいかわからなくなってしまった。
すると、まひるさんは、
「どうかいらしてください。ミユキ様とはこれからも懇意にさせていただきたいので」
なんて素敵な笑顔。
まひるさんってば、天使。
(毎日2エピソード更新)
この続きは明日21:00公開です
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たけりゅぬ




